コロナによる旅行への意識変化を追う JTB総研調査、宿には「感染防止対策」「非接触」求める
新型コロナウイルスの感染拡大で旅行への意識はどう変わったか―。JTB総合研究所は、感染拡大が始まって緊急事態宣言再発出中の現在まで、この1年の消費者心理の変遷を調査で追いつ続けてきた。コロナ禍の経験が今後の旅行に与える影響は大きく、ウィズ・アフターコロナの観光事業への対応は今だけでなく過去と未来を俯瞰した“点から面”での視点が必要になる。
まず、昨年4―12月について。全体の旅行実施率は36・0%で、高かったのは20代女性の49・3%と20代男性の41・8%。若者の意欲の高さがわかる。一方で60歳以上、なかでも女性の10―12月の実施率は急増しており、コロナ禍が落ち着いた時期の女性シニアの復調が同時期の国内旅行回復を押し上げた。40代女性の旅行実施率は性年代別で最低だったことから、所得や生活、雇用環境の変化が旅行に直結したといえそうだ。
では2021年の旅行意向は。国内旅行を予定・検討している割合は27・6%と、そこまで上がってこない。男女ともに20代、30代、60歳以上の順で高くなっている。60歳以上は2020年9月の前回調査より意欲が向上。同研究所では、コロナ禍でも旅行を経験したことが効いているとみている。
海外旅行を予定しているのは7・5%。来年22年が11・5%で、今年は難しいと考えているよう。若者は比較的意欲が高めだが、今後海外旅行をしないと考える人が60歳以上で1割強いることから、同研究所では「海外旅行の世代交代が加速するかもしれない」と指摘している。
今回調査の1月時点で緊急事態宣言発出中の旅行への意識については、「今は国や自治体の意向に沿って移動を自粛するべきだ」が最多で、年代が上がると自粛意向が強くなる。「GoToトラベルが再開されたら利用したい」は15・7%だった。
今年中の国内旅行を予定・検討している人を対象に、ウィズコロナの旅行への意識も調査した。「どんな状況であれば旅行に行きたいか」は、「良いプランや宿泊施設がとれれば」「コロナの新規感染者数が減少傾向になれば」「終息宣言が出たら」の順。やはりコロナの状況次第だが、コロナ禍の旅行を経験したこともあり、前回の緊急事態宣言時からは旅の内容への意識が高まっている。
国内の宿泊施設の選択で重視することについては、「施設の感染防止対策」全項目が6、9月調査よりも上昇。感染防止への意識の高まりが進むが、「感染症対策が第三者機関の認定を得ている」は9月から伸びず、目で見て確認できる具体的項目を重視しているようだ。個室・部屋食での食事、露天風呂付き客室や貸切風呂の利用など他の旅行者との非接触を求める傾向が強まっているようだ。
また、現状の旅行で周囲からの進言への対応は今現在は、周囲よりも自分の意思で控えるという回答が増加した。
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