過去最大の純損失1052億円 JTB・21年3月期決算(1) コロナ禍大打撃、構造改革は「順調」
JTB(山北栄二郎社長)は5月28日、2021年3月期(2020年4月―21年3月)連結決算を発表した。売上高は前年度比71・1%減の3721億円、営業損失は前年度から990億円マイナスの976億円、経常損失は前年度から768億円マイナスの743億円、当期純損失が前年度から1068億円マイナスの1052億円だった。新型コロナウイルス感染拡大により、連結決算を始めた2000年以降で最大の赤字幅に。ただ、手元資金には余裕があり、資金繰りには問題がないと判断。すでに取り組みを進めるコスト構造改革は「順調に進んでいる」(山北社長)といい、市況回復や旅行外需要の獲得で今年度(21年度)中の黒字化を目指す。
部門別では、国内旅行は同66・4%減の1528億円。Go Toトラベルキャンペーン効果で第3四半期に需要増があったが、2回目の緊急事態宣言が発令された第4四半期は再びしぼんでしまった。
海外旅行は同94・9%減の225億円、訪日旅行は同94・4%減の38億円、グローバル旅行は同89・4%減の117億円。いずれも催行不可、渡航禁止の影響を受け、ほぼ凍結状態となった。
一方で、商事や出版、受託事業、MICEなどのその他事業は、15・6%減の1814億円と健闘した。
また、将来の潜在リスクを縮小させるため、特別損失として海外事業会社ののれん減損や店舗削減など構造改革費用で309億円を計上した。資金繰りについては、手元流動資金2628億円を有し、山北社長は同日開いた会見で「安定している」と強調。純資産は475億円まで減少したが、財務健全性の維持と長投資を見据え資本増強も検討していくという。
構造改革は、順調に進み、経費削減目標1400億円に対して現時点で1288億円を削減。国内グループ会社10 社以上減、国内115店舗減は21年度中の達成を見込み、店舗削減はすでに73店舗を削減し、さらなる最適化も見据える。要員削減は6500人の目標だったが、現時点で約5700人。今後約7200人へ目標を上積みする。人件費は役員35%超、社員30%の年収をカット。今期の賞与もなしとする。
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