国内旅行人数はコロナ前19年比44・8%減、近場の旅傾向強まる JTB夏休み旅行動向
JTBがまとめた夏休み(7月20日―8月31日)の旅行動向の見通しによると、1泊以上の旅行に出かける人は国内旅行人数が前年比5・3%増の4千万人の見込み。コロナ禍による国の方針発表を待っての発表となったため例年の7月15日から集計期間を短縮、海外旅行は対象から外しての発表に。国内旅行人数はコロナ前の2019年比では44・8%減となり、国内旅行平均費用は19年比9・6%減の3万3千円。前年に比べやや回復がみられるものの依然として旅行市場にとっては厳しい夏になりそうだ。
今年は東京都に緊急事態宣言が発出されるなど首都圏からの旅行は限定的に。緊急事態宣言が解除された関西からの旅行は回復が期待される。各自治体では「県民割」のような旅行支援が行われ、この夏も地域内や近距離の旅行がトレンドとなる。
消費者へのアンケートでは「先行きがわからないので大きな支出は控えておきたい」など不透明感の漂う状況を鑑み堅実な消費を検討する考えがある一方で、「新型コロナの影響で我慢を強いられてきたので買い物や外食、趣味や娯楽などを行って発散したい」も一定数あるなど消費意欲の高まりを感じさせる回答も。「今後1年間の旅行支出に対する意向」については「コロナ前より旅行支出を増やしたい」は9・4%、「コロナ禍より旅行支出を増やしたい」は15・3%と、昨年よりは旅行支出を増やしたい割合が高くなったが、コロナ前ほどは旅行支出に対しては積極的ではないようだ。
この夏に旅行に行くかどうかは、「行く」と「たぶん行く」の合計が19・8%。コロナ禍前は概ね40%前後だったことことを考えると、コロナ禍の現状を考えてこの夏も旅行を控える傾向が強い。性年代別では男女とも若い年代ほど旅行意向が高くなる結果が得られた。
「旅行に行く」「たぶん行く」と回答した人のうち、旅行日数は「1泊」が41・9%で最多。3泊までが全体の86・8%で、19年よりやや短期傾向が強まった。
同行者は「夫婦のみ」25・6%がトップで「中学生までの子どもづれの家族旅行」22・4%が続く。となっています。「ひとり」も20・3%で19年から6ポイント程度上昇し、旅行の少人数化が進んだ。
旅行目的や動機は「帰省、離れて住む家族と過ごす」が最多で「ハイキング、登山、キャンプなど」の上昇が目立つ。利用交通機関は乗用車・レンタカーの利用傾向が強まり、利用宿泊施設は「ホテル」が最多ながら減少傾向となるなどコロナ禍を反映した結果になった。
旅行商品の予約状況から方面別では県民割などの「地域観光事業支援」策が後押している九州、新潟佐渡、伊勢志摩、南紀が好調。近場の旅行が多数を占める。自然を求める旅行が人気のようだ。
調査は1030人のアンケート結果とJTBグループの販売予約状況などから推計した。
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