漢方・薬草の発祥地を訪ねる 奈良ウェルネスツーリズム(3)/ふるさと奈良を活性化
正倉院で日本の薬草、漢方のルーツに出会う
「日本の薬草、アロマ、漢方、今流行りのサウナ(蒸し風呂)もはじまりは奈良だったんです。正倉院には日本初のアロマポット(香炉)が収蔵されており、1千年前の薬草が保存されています。まさか、こんなに近くが日本のヘルス&ビューティー発祥地だったなんて。大仏さんに懺悔しました」
奈良って面白い、橋本さんはふるさとのことを調べ学んでいった。「1300年以上前、奈良で疫病が流行りました。今でいうソーシャルディスタンスの話しも記録されていますし、薬膳料理で体温を上げて免疫力を高める、ということも残されています。そして、平穏無事を祈るために大仏さまが建立されたのです。正倉院にはトリカブトやダイオウなどを処方した『種々薬帳』という、今の漢方薬のベースがそろった書物もあります。光明皇后は、庶民に薬を与える『施薬院』、孤児や困窮した人を救う『悲田院』など、奈良は福祉、薬草風呂、アロマの発祥地であることもわかってきました」。
「これからの時代に生かせる知恵が奈良にはあります。日本人の心身には、日本の薬草が合うと思います」と、日本古来の健康美容シリーズブランド「THERA(テラ)」も立ち上げた。発酵・醸造の技術を生かしたスキンケア、大和植物由来の化粧品を販売する。「飛鳥・奈良時代に人を癒す場所だったお寺、テラピストの語源になった聖者テラの意味を込めました」。THERAはファンを増やし、その中から奈良に訪れてみたいという声も橋本さんに届くようになった。
「これまでは親しい人だけを案内していましたが、だんだん人数も増えてきました。皆さん自分で奈良に来て、何泊もされます。奈良の持つ豊潤なストーリーに感動されて、いろいろなものを食し、体験し、買って帰られます。観光関係の方々から、奈良は滞在時間が短く観光消費も少ないことが課題なのに、橋本さんが声をかけたお客さんはなぜなのですか?と聞かれます。奈良は盆地なので夕暮れが早い。朝は『かぎろひ』、朝の光に包まれ、散歩をしたり朝ヨガをしたり…。昼は私が薬草狩りなど体験いただく場所を案内します。東京など都会で忙しい日を過ごしている皆さんには奈良で過ごすことは特別な時間のようです」
来年2月12日から1泊2日のツアー実施
そして今年、旅行会社のロイヤルツーリストとコラボし、本格的にツアーとして奈良の漢方と薬草をめぐる旅を仕立てた。
2月12日、近鉄西ノ京駅に集合し、唐招提寺で漢方、薬草のお話を聞く。垂仁天皇陵では、日本固有の柑橘類「大和橘」を収穫。その大和橘を使って、奈良の旬の素材を用いた昼食、東大寺二月堂の特別拝観、橋本さん自ら正倉院の薬物について話す。宿泊は、若草山の山上にある「ANDO HOTEL奈良若草山」。薬草蒸し風呂のテントサウナ体験、奈良市街を一望する夜景も楽しむ。
13日は、若草山山頂での朝ヨガからスタート。癌封じで知られる大安寺ではツアー参加者のみに向けての特別ご祈祷、著名なオオニシ恭子さんよる大和薬膳のランチを味わう。そして、梅まっさかりの月ケ瀬梅林を訪ね、日本で唯一の烏梅職人・中西喜久さんによる古代紅のつくり方を見学する。
旅行代金は1人5万6千円から(4名1室ご利用)。ツアーの申し込み、問い合わせはロイヤルツーリストTEL0742―36―1020へ。募集サイト:https://www.royal-tourist.co.jp/category/premium-tour/(12月下旬オープン)
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