ストーリーテラーが案内するドイナカ・ツーリズム タビカラがサイト開設
田舎に暮らす人々と外国人観光客をつなげ、田舎と都会をつなげるプラットフォームを目指すサイト「ThoughINAKA(ドイナカ=https://thoughinaka.com/)」が3月1日オープンした。島根県雲南市に拠点を置くタビカラが運営し、地方の魅力を伝えるストーリーテラーと呼ぶガイドがアテンドする着地型旅行商品を造成、販売する。まずは地元、島根県の歴史文化や生活文化など田舎に浸り体感するアドベンチャーツーリズムをラインナップした。
サイトを運営するタビカラは、島根県の海士町観光協会や奥出雲観光協会で長年勤務した経験を持つスリランカ出身のサミーラ・グナワラデナさんが仲間とともに立ち上げた。高齢化や過疎化など日本の地方が直面している課題を観光協会職員として離島や中山間地域で実感し、その課題解決にインバウンドを地方に誘致するツーリズムに可能性を見い出したという。
地方へのインバウンド誘致がうまくいかないのは、言語や文化の違いを必要以上に自らハードルを高くしているからと仮説を立て、語学力ではないコミュニケーション能力で地域の魅力を伝えられる人材の育成に地元行政の支援を受けながら取り組んだ。育成した人材にはコミュニケーション力だけではなく、地方の課題でもある移動手段のアテンド力、地元に根差して生業を営む人々など地域コミュニティとの関係を深化するよう求めた。そのためサミーラさんたちが育成するのは、ガイドではなく地域の「ストーリーテラー」とし、固有のものがたりを感じられる商品開発まで担えるようにした。数カ月に及ぶ研修を経て、島根県に在住し地元を愛してやまない4人のストーリーテラーが生まれた。
ストーリーテラーが考案した商品は日本在住の外国人などを招致しモニターツアーを実施。試行の結果やモニターの意見などを反映し、今春までに3つのプレミアムツアーを造り込んだ。そのうちの一つは、夫がオーストラリア人のストーリーテラーがつくった「侍」をテーマにしたツアー。松江市で国宝の松江城や、大名茶人として知られる松平不昧公好みのお茶処、映画「もののけ姫」のモデルになった奥出雲のたたら製鉄ゆかりの場所を貸切タクシーを使ってめぐる1泊2日の旅だ。ツアー代金は1人8万円から。
また、英語にもなっている「生きがい」をテーマにしたツアーは、木工職人の技に触れオリジナル組子細工に挑戦するほかゲストハウスで出雲の郷土料理を自らつくるなど日本文化に触れる1泊2日。ツアー代金は7万5千円から、となっている。このほかにも、田舎だからこそ体験できる日帰りのアクティビティを多数そろえた。東京からのアクセスも詳細に紹介し、外国人にわかりやすいよう編集している。
サミーラさんは「いま多くのインバウンドが来ています。彼らが10日間にわたり日本を旅する中で、8日はゴールデンルート、2日は田舎という流れを作りたい。ほんものを見たい、リアルな日本の田舎を体験したいという国内外の人たちを日本の地方に誘致したい、そのためのプラットフォームです。全国で協働できる旅行会社、パートナーと連携したいと考えています。もちろん各地のストーリーテラーも募集しています」と話している。
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