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新中計で増益目指す KNT―CTHD、24年3月期は増収減益

24/05/28

KNT―CTホールディングス(HD)が5月9日に発表した2024年3月期通期決算(23年4月1日―24年3月31日)の連結純利益は、75億4千万円(前期117億9千万円)となった。コロナ禍に関連する受託事業における特需がなくなるほか、海外旅行の回復が遅れ、42億5千万円の減益となるなど増収減益となった。25年3月期は、特別損失が減少するも、営業外収益の減少が予測され75億円の純利益を見込む。今後に向けては、24―26年度までの新・中期経営計画を進め、26年3月期には80億円の純利益を目指す。

売上高は、前期比1・3%増の2554億2700万円、営業利益は同36・3%減の72億7200万円、経常利益は同33・8%減の79億7700万円だった。旅行事業は、コロナ禍を経て海外旅行の回復による増収など需要が伸びた。一方、コロナ関連BPOの受託事業の特需は縮小して減収となった。

25年3月期の連結業績予想は、売上高が2950億円、営業利益が75億円、経常利益が75億円を見込んでいる。

5月14日に開かれたIR説明会では、新・中期経営計画を説明。コロナ禍に策定した21―25年度までの中期経営計画を見直し、「信頼回復と持続的成長に向けたグループ一体運営の強化」をテーマに掲げながら、コロナ禍における過大請求問題などからの信頼回復に向けて引き続き企業風土改革を進める。

同社の米田昭正社長は「近畿日本ツーリスト(KNT)とクラブツーリズム(CT)の強みを融合する。地域共創事業、訪日事業を成長領域としながら、さらなる効率化を実現していく」と話した。

米田昭正社長

米田社長

新・中期経営改革では、信頼回復に向けた企業風土改革やサステナビリティとしてマテリアリティへの取り組みを推進するほか、事業戦略の見直し、事業ポートフォリオの再設計、BtoC事業の価値向上、人的資源を最大活用した人財戦略、グループ共通システムの整備などに取り組む。

26年度の連結決算では、営業利益が85億円、当期純利益が80億円の達成を目指す。

同社の小山佳延専務は、社会的な存在意義の問い直しとして、KNT―CTグループパーパスを制定したことを紹介。新たなパーパスとして「まだ見ぬところへ、まだ見ぬ明日へ」を社内に浸透させ、旅そのものの進化や、新しい価値の創造や提供を図る。

事業ポートフォリオを見直しでは、主軸となる地域共創事業と訪日事業の全売上高に占める割合を23年度の8%から、27年度以降の早期に20%にまで引き上げる。

小山専務は「地域商社のような存在となり、川上のプラットフォーマーではなく、川下で地域に入って一緒に汗をかいていきたい」を語った。

小山佳延専務

小山専務

優先株式の償還の見通しについては、26年6月での償還に向けて創出資金の9割程度の蓄積が進んでいることが説明された。自己資本比率は、前年度から7・5%増となる33・4%となった。

このほか、人員については、積極採用の方向性であることや、需要がおう盛な店舗は有効な場所については再度開けることを検討していることなどを発表した。

同社は、5月9日には、米田昭正社長の後任として、小山佳延専務が昇格する人事を発表している。米田氏は代表権のある会長に就く。

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