国内は平日需要の促進 JATA記者懇で見通し、海外は代金高騰が課題
日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長=JTB会長)は7月18日、東京・霞が関のJATA研修室で記者懇談会を開き、髙橋会長が改めてコンプライアンスの取り組みについて話し「着実に実行し、旅行業界から不正事案を一掃することで、社会の信頼を回復したい」と決意を示した。
JATAでは、一部会員会社による国や自治体からのコロナ関連の受託事業や雇用調整助成金の不正請求、談合など複数の不祥事が発覚。こうした事態を受け、2023年12月に再発防止のための弁護士ら5人をメンバーとする有識者委員会を設置し善後策に取り組んでいる。今年4月にコンプライアンス推進室を新設し5月には懲戒規定を制定。7月以降は公務受託事業、経営者向け研修など各種コンプライアンス研修の実施を予定している。
記者懇談会には髙橋会長のほか副会長3氏が出席し、担当別に国内旅行、海外旅行、訪日旅行の現状と今後の取り組みなどについて紹介した。
国内旅行については小谷野悦光副会長(日本旅行社長)が、コロナ前に比べ宿泊者数は同程度まで回復し、日本人の国内旅行消費額はコロナ前を上回っているものの、旅行会社の取扱額が回復していないと現状を報告。「残念ながら主要旅行会社の取り扱いは19年に及んでいません。コロナ禍で店舗や社員を圧縮したことに加え、OTAや運輸機関の直販の加速といった世の中のマーケットに対応しきれていないとの認識を持っています」とし、価値ある商品を企画・販売に各社が知恵を絞っていると話した。
また、好調なインバウンドを含めた国内旅行で、一部地域で問題視されているオーバーツーリズムについては、休暇取得の促進や学びとバケーションを組み合わせた「ラーケーション」への取り組みなど平日旅行の推進に官民で取り組む必要性を指摘した。
海外旅行については酒井淳副会長(阪急交通社社長)が、主要43社の24年1―5月の海外旅行取扱額が19年比で約6割にとどまっていると説明し「今年は海外旅行自由化60周年を旗印に海外旅行完全復活元年としてスタートしましたが、完全復活への道筋は見えていません」と認識を示した。
なかでも個人レジャーの分野で回復が遅れているとして「旅行代金が高いのが一番の要因です。航空機運賃、現地のホテル代、食費などすべてが高騰していることに加え、円安もある。旅行会社として、旅行者に納得感ある商品を提供するかで解決したい」と話した。夏休みの海外旅行についてはコロナ前の8割程度との見通しを示した。
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