人手不足が課題トップは変わらず、国の支援求める声も大きく JATA、インバウンド受入拡大の意識調査第3回結果まとめる
日本旅行業協会(髙橋広行会長、JATA)は9月24日、インバウンド旅行客の受入に関する国内の受入事業者の意識調査の結果をまとめた。課題などを抽出、今後の受入拡大につなげる。
調査は今回が第3回目。7月に旅行会社や宿泊、輸送、自治体らを対象に行い、過去最高の1164件の回答を得た。その結果から注目の観光コンテンツやインバウンド受入に関する課題、大阪・関西万博の関心度などをまとめた。
コロナ禍前の2019年のインバウンド受入のべ人数は、地域の事業者が多いことから61%が10万人未満。27%は取り扱いがなかった。取り扱いのない事業者が将来インバウンドを受け入れる計画があるかは前回より7ポイント減の44%、予定なしの理由は前回同様約6割が人手・人材不足を挙げている。
観光客の回復は、インバウンドは41%がコロナ禍前の水準に戻ったと回答。過去2回の調査に比べ着実な回復が見て取れる。国内旅行を含む全体も41%だが、インバウンドに比べて回復はやや緩やか。
インバウンド客の多い時期は桜の春や紅葉の秋、夏の花火大会、冬のクリスマスのほか、地域固有のイベントに集中している。
インバウンドの旅行スタイルは、個人レジャーと団体レジャーが6割強で突出。団体レジャーは個人レジャーを上回る伸びをみせた。団体ビジネスやMICEも増加し、団体などへ受入が拡大しているようだ。
コロナ禍を経て新しい、または注力している観光コンテンツはサステナブルツーリズムが28%でトップで、僅差で高付加価値旅行が次点。以下、ガストロノミー、アドベンチャ―ツーリズム、酒ツーリズムと続き、傾向は前回と変わらない。日本の伝統産業や文化といった日本ならではのコンテンツへの高まりもうかがえる。
インバウンド重点市場は、台湾が49%で他市場を20ポイント以上上回る注目を集めている。中国、東南アジア、北米、欧州、香港と続く。北米や欧米の躍進も目立ち、アジアと並ぶ市場に成長しているようだ。将来の見通しは各市場で現在より重要度が低下するものの、東南アジアは低下の度合いが低く、期待は大きい。
予約チャネルは大半が国内・海外の旅行会社経由という傾向は継続し、増加傾向。OTAや旅行者自らも増加している。
インバウンド受入の課題については、55%が人手不足や人材不足と回答。改善はしているものの、まだまだ最大の課題と認識されている。待遇の改善や就職希望者の少なさが主な要因。オーバーツーリズムや食事対応の割合も増えている。バス料金の下限賃金割れや交通網の不便さ、自然災害対策、旅行商品の多様性なども課題として挙がる。
将来的に受入を拡大させるための条件も人手・人材不足の解消はトップ。国・政府の支援が続き、自治体の広域連携の拡大など行政の取り組みが高止まりしており、人材確保や観光政策・制度の整備などを求める意見が多い。オーバーツーリズムの解消も急増。バス・タクシーなど交通面のサービス充実、観光地のインフラ整備、働き手の人材育成や教育といった声も。
コスト上昇への対応は、19年と比較して価格に反映させた企業は全体の66%と回を追うごとに増加。現在反映していないものの検討するとの回答は1年間で20ポイントも減少している。
大阪・関西万博については、これを契機にインバウンド観光客のさらなる誘客を検討しているのは今回も3割と依然周知が必要な数値に。関心度も徐々に低下し、万博効果はあまり表れていないのが現状だ。
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