全旅クーポンでカーボン・オフセット 全旅と地域創生Coデザイン研究所が提携
全旅(中間幹夫社長)はNTT西日本の子会社、地域創生Coデザイン研究所(北山泰三社長)と業務提携し、全旅クーポンを用いたカーボン・オフセット支援事業を2025年1月から本格スタートさせた。本提携により、旅行会社が造成・催行する旅行の行程中に発する温室効果ガスの排出量を算定することができカーボン・クレジットに変換、全旅クーポンによる精算でカーボン・オフセットを証明した旅行の商品化が実現する。
持続可能な旅行商品化 送客会員の推進後押し
社会活動で拝出される二酸化炭素など温室効果ガスの削減が地球規模で課題とされる中、観光業から拝出される温室効果ガスは全体の8・8%を占めるとされている。24年11月に開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)でも観光業の温室効果ガス排出削減や気候変動への適応力強化が議題にあがり、日本政府も50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを宣言している。
こうした背景の中、全旅でも持続可能な観光への取り組みのうちカーボン・オフセットを新規事業として決定。全旅クーポンを利用する全国約3千社の旅行会社(送客会員)に呼びかけることにした。また、旅行者(消費者)の環境保全に対する意識が高まり、特に多くの全旅クーポン会員が取り扱いを見据えるインバウンド市場ではカーボン・オフセットなど自然環境に負荷をかけない旅行は常態化していることも事業化の後押しになった。
具体的には、旅行中に排出される温室効果ガスをほかの場所で削減・吸収することで“埋め合わせ”するためにカーボン・オフセットを活用。カーボン・クレジットとして環境省・経済産業省・農林水産省が運営する「J―クレジット制度」に基づき認証される森林吸収由来のJ―クレジットで行う。
排出量算定やカーボン・クレジットの調達、カーボン・オフセットなど旅行会社にハードルの高い煩雑な手続きは、地域創生Coデザイン研究所が実施。全旅は、算定された排出量に基づき送客会員から発券依頼のあったカーボン・オフセットクーポンをJ―クレジットに100・グラム単位で発行し、カーボン・オフセット証明書を送客会員に発行する。これにより、旅行業者は施設予約と同様にワンストップでカーボン・オフセットクーポンを発券し、旅程における排出量をオフセットすることが可能になる。
両社は今後、送客会員の利用状況やフィードバックを踏まえた手続きの簡素化などの見直しを随時行い、一社でも多くの旅行会社が手軽にカーボン・オフセットを実施できる環境を整備していく。加えて、現状は交通機関(鉄道・バス・自動車・飛行機など)のみの排出量算定対象についても順次、宿泊などへも拡大をしていく予定だ。さらに、今後数年間かけてJ―クレジットを調達するエリアを各都道府県単位まで細分化し、地産地消型の観光カーボン・オフセットを可能とする体制の構築を目指し「日本国内における持続可能な観光経営や林業経営の実現に貢献してまいります」としている。
近畿の送客会員の間では、脱炭素社会に貢献し持続可能な旅行の実施を中小旅行会社や自社の価値向上にもつなげようと「我々が率先してカーボン・オフセットに取り組む」とし、近畿の全旅クーポン送客会員で先進モデルをつくると意気込んでいる。
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