静岡県の旅館ホテル女将が「地震初動マニュアル」作成
静岡県内の旅館ホテルの女将さんがこのほど「地震初動マニュアル」を作成した。東海沖地震などの発生が懸念される中、宿泊客の安全を確保するため自分たちがどう動き対応すればいいのかポイントをまとめた。地震発生時の対応法を旅館ホテルの女将がマニュアル化したのは全国でも例がないという。
マニュアルは、静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合の女性部会あけぼの会(稲葉きみ江会長=浜名湖かんざんじ温泉ホテル鞠水亭・女将、162会員)のメンバーが作成した。地震防災の専門家である富士常葉大学環境防災学部の小村隆史准教授が監修し、会員で話し合って内容を固めた。
具体的には、大規模な地震が発生したら「非常時女将スイッチON」として、まず自分を落ち着かせて、テレビ・ラジオから情報収集するほか、フロントなど「非常時の女将は定位置から動かない」。次に「3分以内に館内放送」をすることを記している。また「一に情報、二にトイレ、三四がなくて、五に『熱いお茶が一杯』」とし、断水した場合の非常用トイレの準備、温かい飲み物を提供するなど、宿泊客に安心感を与えるソフト面の対処の重要性を説いている。マニュアルは冊子とカード式の2種類あり、カードはフロントなどに常備できるようになっている。
あけもの会メンバーは8月24日に静岡県庁を訪ね、川勝平太知事や岩瀬洋一郎副知事にマニュアルの完成を報告した。岩瀬服知事は「お客様の安全・安心の確保はもちろん、地震発生時においても『お客様へのおもてなし』に努めようとする女将の皆様の強い心意気が感じられる心のこもったものですね。静岡県のおもてなしの心を表すツールとして、全国にも積極的に情報発信していただきたい」と話していた。
今後、マニュアル説明会を県内で開き、ホテル旅館組合の全組合員847施設にも配布を予定している。