中国富裕層へアプローチ 日旅連が総会で今年度事業決める
日本旅行協定旅館ホテル連盟(根津文博会長=北海道川湯温泉・御園ホテル)はこのほど、東京・池袋のホテルメトロポリタンで2011年度総会を開き、(1)宿泊券増売(2)中国エージェントの招へい(3)日旅連塾の開催―など11年度事業を決めた。
中国の富裕層の集客を目的に、5月ごろに中国の旅行会社を招へいし、北海道、東北、新潟、長野を中心に視察してもらう。前年度は、同様の招へい事業後の5―10月に1549人の宿泊数実績を残している。
根津会長はあいさつで、11年をリスタートの年と位置付けながら「アジアの成長の取り込み、既存の観光素材の組み合わせによる旅行商品への新しい価値の付加、若者と女性への旅の良さのアピールなどに取り組んでいきたい」と抱負を述べた。
また、来賓の丸尾和明・日本旅行社長は、12月決算で日本旅行単体の営業利益が3億円を達成したことを報告しながら、「2期連続の赤字経営から脱却したが、内容的には問題」と話し、国内旅行の立て直しが急務だとの認識を示した。
日旅では10年度の売上が海外旅行のけん引で215億円増えたが、国内旅行は逆に50億円減らしている。
丸尾社長は「マーケットの変化に対応できるようビジネスモデルを変えていく」とし教育旅行、MICE、インバウンドを中核に据えながら、着地型エスコート商品への取り組みなどを図っていく方針を説明した。特に、インバウンドについては新年度の目標を前期売上の2倍の220億円、将来的に600億円を目指すことをイメージしながら経営資源を集中していくとした。
総会記念講演は、著書の「デフレの正体」が話題の藻谷浩介さん(日本政策投資銀行)が「デフレの正体と旅館・ホテル経営」をテーマに話した。
藻谷さんは、首都圏の人口予測について15―25年までの10年間で65歳以上が269万人増える一方、15―64歳が147万人減少することなど、現役層が減少することによる「デフレの正体」の例を示しながら「すでに半分が経過しています。65歳以上が、まだ手つかずに近い外国人の取り込みに取り組むべきです」などと話した。