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【東日本大震災】全国の旅館で避難民8万4千人の受け入れが可能

11/03/29

全国の旅館ホテルを避難所として無料で使ってもらおうという取り組みが、ようやく動きはじめた。

災害救助法に基づく避難所に、旅館ホテルなどの宿泊施設が認められたことで、観光庁は24日、都道府県に対し、旅館ホテルへの避難が必要な住民を集約するよう依頼した。同時に、受け入れ旅館ホテルのリストづくりも進んでおり、29日現在、北海道から九州まで28の都道府県の旅館ホテルで合計8万3900人の受け入れが可能になっている。静岡県の1万1900人が最も多く、山形県と新潟県も1万人以上の受け入れが可能だ。

観光庁ではこれら都道府県別の受け入れリストを随時、被災県に提供。被災県や被災市町村からの要請があれば、避難先となる旅館ホテルを選定する調整役を務めるほか、避難所から宿泊施設までの移動を手配することにしている。今のところ同制度の利用者はいない。

旅館ホテルの受け入れリストを作成しているのは、全国の旅館ホテル1万7千軒が加盟する全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会。阪神・淡路大震災や新潟県中越地震など過去の震災の経験を踏まえ、佐藤信幸会長(山形県かみのやま温泉・日本の宿古窯)を中心に、震災翌週から厚生労働省などに対し災害救助法の避難所として旅館を認めるよう働きかけてきた。

「せっかく命をとりとめながら、避難所で亡くなる人がいるのは本当に残念で気の毒です」。佐藤さんは、地元から東京への交通手段が滞るなか、新潟経由などで東京を往復し、制度の活用を訴えたが、被災県や受け入れ県が複数にわたることなどを理由に国の対応が遅れていた。

災害救助法の適用を受けると、宿泊費を国と被災県が負担し、避難者は無料で宿泊施設を利用できる。過去には2004年の新潟県中越地震の際に制度が活用され、新潟県が新潟県旅館組合と1泊3食5千円の取り決めを行い旅館ホテルで避難民を受け入れている。

今回も、宿泊費は5千円以内とし、費用は国と被災県が分担する。

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