震災復興へ特別事業 JTB旅ホ連西日本支部連・総会
JTB協定旅館ホテル連盟西日本支部連合会(中田力会長=梅樽温泉ホテルシーモア)は5月17日、神戸市東灘区の神戸ベイシェラトンホテル&タワーズで2011年度通常総会を開いた。東北支部、関東支部連合会へ300万円の義援金、東北6県と北関東3県(茨城・群馬・栃木)への宿泊研修旅行への補助金交付など、東日本大震災被災地の復興支援を特別事業として盛り込んだ。役員改選では中田会長を再選した。
中田会長はあいさつで「今回は鎮魂の祈りの総会です。郷土の山河、自然と共生することで成り立っているのが我々の生業です。JTBとより絆を深め、地域経済発展のための努力をしなければなりません」と話した。
来賓として参加したJTB旅ホ連東北支部連合会の久保田浩基会長(岩手県・ホテル志度平)は被災地の状況を説明。自身の宿には震災当日383人の宿泊客がいて全員が無事帰るまでの3日間、宿に備蓄していた食糧はすべて無料で提供し、交通機関も手配したという。
久保田さんは「パソコンが飛んでしまって、すべてリセットした感じです。今から、また一からプログラムを組み直さなければいけませんが、逆にチャンスかもしれないとも思っています」とし「日本の観光復活は、東北の復活なくしてはない、というのが東北人の気概です」。さらに「平泉の世界文化遺産がほぼ決定しました。東北復興のシンボルとしたい」と述べ、会場から大きな拍手を受けていた。
日比野健名誉会長(JTB西日本社長)は、JTB西日本とJTB中国四国、JTB大阪3社の10年度実績に触れ「宿泊券は3社合わせて前年比97.6%の519億円でした。3月の落ち込みが響きました」と報告。一方で、西日本連合会管内15府県の受け地としての実績は、奈良の平城京1300年祭や大河ドラマ龍馬伝などを要因に同103.4%の711億円を記録し「2位にかなりの差をつけ全国1位でした」と強調した。さらに支店の現地仕入れ機能を強化し、グループの様々な販売チャネルを駆使してマーチャンダイジングによる販促に力を入れると話していた。
11年度の宿泊券販売目標額について、日比野名誉会長は「西日本の3社で530億円を見込んでいます」とした。
議案のうち、11年度の西日本支部連合会事業計画では、特別事業として東日本大震災被災地の復興支援事業を実施する。被災地域への研修では、6月上旬に山口県支部が鹿児島県支部とともに福島県・会津へ行くことを決めたほか、和歌山県支部や兵庫県支部でも研修を予定している。研修には1支部あたり会員数の3分の1を上限に1人2万円を補助する。
役員改選では中田会長を再選したほか、副会長に小田修さん(琵琶湖ホテル)と永山久徳さん(鷲羽山下電ホテル)を新たに選出した。
そのほかJTBグループ本社の方針説明やインターネット販売についての説明があり、懇親会では復興支援を目的に東北各県の特産品販売コーナーを開設。中田会長をはじめ参加者が次々に買い求め約30万円の売上があった。会場では東北の地酒も振る舞われた。
総会受け入れ支部の西村肇・兵庫県支部長は「震災を経験した支部として、東北・北関東の仲間にエールを送りたい」と話していた。