全旅連、震災復興誓う全国大会 長嶋茂雄さんも激励
全旅連は6月7日、東京都港区のホテルオークラ東京で2011年度全国大会を開いた。一時中止という声もあったが、東日本大震災で直接、間接的被害を被った旅館ホテルが元気を取り戻せるよう「元気になろう観光日本!がんばれ東日本!」のテーマを掲げ開催、全国から800人が集った。
佐藤会長は震災で大きな影響を受けた旅館ホテルに対して国、東京電力へ補償を求めていく考えを示した。震災復興緊急補償の利用対象に宿泊、旅行業が盛り込まれたことは全旅連の活動が認められたことで意義深いこと、と率直な感想を述べた。参加者には「心を一つにして健全な業界の実現に向けて頑張ろう」と呼びかけた。
長嶋茂雄さん出席 「頑張りましょう」
大会にはサプライズゲストとして読売巨人軍・終身名誉監督の長嶋茂雄さんが出席。長嶋監督の出席は「組合員に元気を出してもらいたい」と大会実行委員会(大木正治委員長=愛媛県・はなゆづき)が秘密裏に進めていた。長嶋さんが会場に現れると、会場にどよめきが起こった。
長嶋さんは「旅館が被災者を受け入れてきたことを知って、日本の旅館のホスピタリティに驚きました。日本人だけでなく外国人も心おきなく日本の観光を楽しめる日は必ずやってきます」というメッセージを司会者の代読で披露した後、自らマイクを持って「みなさん、頑張りましょう」と訴えた。
このあと大会宣言・決議を採択し、全員で復旧に向けた「頑張ろうコール」を行った。
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全国大会式典の前に日本政策投資銀行参事役の藻谷浩介さんが「震災後日本と観光の再生」について講演した。
藻谷さんは、東日本大震災で観光業界に影響が出ていることは認めながらも「観光客数や宿泊数の減少を景気の原因にしているようでは未来はない」「今我々が直面しているのは人口減少であり、60代以降のシルバーウエーブをどのように受け入れるのかを考える必要がある」と指摘した。
今後は「泊まって食べるだけでは集客できない」「来訪頻度を増やす施策」「汚い建物をなくし景観をよくする」「地域のブランド力を高める」などを進めるよう促した。
式典終了後には分科会として経営研究委員会が「危機を機会と捉える 今こそ旅館経営の未来を構築する時」、女性経営者の会が「消すな!燃やし続けろ!宿屋の火 未来に繋げる宿屋のこころ」を行った。