未来の宿泊代で復興支援 「種プロジェクト」参画旅館ホテルを募集
未来の宿泊料金を今支払うことで、東日本大震災で経営難に陥っている旅館ホテルを支援する―。旅館サポーター制度「種プロジェクト」という取り組みが行われている。直接宿を支援することはもちろん、地元産業との関わりが深い宿泊産業を基点に被災地域への波及することも見込む。現在、一口5千円からのサポーターと参画宿泊施設を募っている。
種プロジェクトは、被災地の宿を支援したいという想いを持つ人が旅館サポーターとなり、一口5千円から、未来に宿泊する際の料金の一部を旅館ホテルへ前払いするというもの。宿側は、入金後に前払い証書を郵送し、未来の宿泊を約束する。
すぐには泊まりに行けないが、近い将来に必ず行くと意思表示することで、被災した宿の心の支えや力となることを目指した。
8月15日現在、サポーター口数は159。旅館ホテルは、ホテル洗心亭(福島県・湯野上温泉)▽峠の湯 追分温泉(宮城県石巻市)▽峩々温泉(宮城県川崎町)▽山ふところの宿みやま(宮城県・鳴子温泉郷)▽旅館ひげの家(福島県・高湯温泉)の5軒が登録されている。
プロジェクトを立ち上げたのは、温泉旅館の情報サイト「タビエルの宿」を運営する丹羽尚彦さん。被災エリアの懇意の宿に連絡すると、建物の被害に加え、旅館ホテルがキャンセルの嵐に見舞われていた。「設備の被害は考えようによってはどうにかなること。でもお客さんが来ないという状況が何よりつらい」という話を聞く一方、そんな状況下でも温泉を開放したり炊き出しを行っていることも知った。「宿をサポートすることで、安心して宿が被災地の支援活動に精を出せる、そうすれば全国にいる人々が間接的に復興支援に参加できる」。丹羽さんは、震災から1カ月経った4月11日から取り組み始めた。
そして、地域産業への波及が大きい旅館の役割に注目。宿泊客が増え、地域にお金が落ち、雇用が生まれるという循環を「旅館を起点にした地域復興」と位置づけ活動している。
現在、旅館サポーター登録のほか、地域復興にともに取り組む東日本の宿泊施設も募集している。URLは、http://save-ryokan.net。