奈良パークホテルがシンポ "記紀・万葉"テーマに/奈良
奈良パークホテル(箸尾享嗣代表取締役)はこのほど、奈良・歴史発見「古代女帝と万葉歌」をテーマに講演会とパネルディスカッションを行うシンポジウムを開いた。奈良県が実施する古事記1300年紀記念イベントの一環。180人が参加した。
講演会では、奈良大学教授の上野誠さんが「斎明女帝の旅 その明暗―万葉集とともにめぐる女帝の生涯」を演題に話した。
上野さんは「天智天皇の時代を大きく評価するために、斎明天皇の時代を低く評価する傾向にある」と指摘し、「斎明天皇のことがわかると飛鳥のことがわかる。飛鳥の政治状況がわかると古事記が編さんされた時代がわかる」と語った。
また、斎明天皇が和歌山県の白浜温泉や愛媛県の道後温泉などへ行ったことや、白村江の戦いで百済救済の出兵で自身も福岡県の筑紫朝倉宮へ出向き、その地で亡くなったことにも言及。「これほど旅をした女性は、明治の歌人、与謝野晶子までない」と話した。
続いて行われたパネルディスカッションでは、上野さんをコーディネーターに、華道家で万葉の花研究家の片岡寧豊さん、月刊「歴史読本」編集部の石井久恵さんがパネラーとなって「奈良の魅力再発見」を語り合った。
片岡さんは「万葉集で4516首の歌が詠まれているが、その3分の1に当たる1500首は植物が盛り込まれている。山の辺の道には昔からの万葉植物が残っているので、ぜひ散策してほしい」「薬師寺の美しさは遠景にある。遠景はまわりの植物があってこそ」と話した。
石井さんは「歴史読本で古事記や日本書紀、神話関係の特集をすると西日本では売れ切れることが多い。奈良県の記紀万葉の取り組みは今年から始まったので、古事記、日本書紀のいずれも奈良で編さんされたことをもっとアピール」と呼びかけた。
さらにパワースポットブームについて「元々は記紀万葉に関するところから広がった。そこには物語があるが、本来日本人は物語を大事にしてきた国民。今、若い人も無意識のうちに原点回帰している」と語った。
奈良パークホテルでは、今後も同様のシンポジウムを継続して行っていく予定だ。