全旅連、3課題への対応懸命に 政治運動で勝負
全旅連(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、佐藤信幸会長=山形県かみのやま温泉・日本の宿古窯)が「宿泊業界の将来の経営環境に大きな影響を与える」3つの課題にがむしゃらになって取り組んでいる。
3つの課題とは(1)消費税増税を控え新たに認められた外税表示が徹底できるか(2)改正耐震改修促進法に基づく耐震診断や耐震改修について、地方自治体の制度、資金面での支援をどれだけ引き出せるか(3)予定されている固定資産税の見直しで、経年で資産評価が減額するスピードをどれだけ早く(短い年数に)できるか―。いずれも秋から年末にかけての業界活動が大きく結果を左右するものだ。
このうち固定資産税は旅館ホテルの建物について12月に決する14年度税制改正で見直すことが決まっている。
固定資産税は3年に1度見直しが行われていて、前回11年度の税制改正で、観光立国の観点から重要な役割を果たす旅館ホテルの建物の評価については、使用に関する実態調査をした上で評価を見直すことが盛り込まれた。
問題は現行50年の経年減額措置が、今度の税制改正でどの程度短縮されるのか。経年減額期間が短くなればなるほど、固定資産税の負担は軽くなる。
全旅連では9月17日に全国の都道府県理事長が出席し3つの大きな課題への対応を協議。会議では固定資産税について、組合員1100軒からの回答を得た建物使用に関する実態調査が報告され、税理士や鑑定士などの専門家を交えた検討の結果、全旅連として36年への短縮が適正と主張していくことが確認された。
理事会では経年減額年数の短縮で旅館ホテルの税負担がどれだけ軽減されるかを分かりやすく示すため、経年措置が現行の50年から40年に短縮された場合の試算について説明した。
それによると建築当初の資産価値が1千万円だった場合、経年措置が50年と40年の場合で評価額はそれぞれ、10年後には840万円と800万円、20年後は680万円と600万円、40年後は360万円と残存額20%のみの200万円になる。
負担軽減効果は年々大きくなり、最大44%減と大きな負担減につながることが紹介された。
佐藤会長は「36年に短縮できれば大きな経費の削減につながります。しかし、総務省は48年への短縮を考えています。12年の開きを政治運動で埋めたい」と話し、国会議員への陳情活動を強める方針に理解を求め、協力を要請した。
これに組織としていち早く対応したのが全旅連青年部。9月25日の臨時総会にあわせ約200人が都道府県単位で議員会館に国会議員を訪ね、陳情活動を行った。
佐藤会長は陳情を前に青年部員を激励。「長年の悲願だった固定資産税の見直しが、やっとここまできました。現状は最後の詰めの状況で、最後の勝負のときです。なんとか36年を勝ち取りたい。青年部のパワーにかけていきたい」と期待を示した。