特区で民泊解禁へ(1) 東京都大田区は条例制定方針
東京都大田区は、全国で初めて国家戦略特別区域法に基づき、民間の住宅やアパートに外国人旅行者の宿泊を認める条例を制定する方針を明らかにした。
国家戦略特別区域法では規制緩和の1つとして旅館業法の適用除外特例を設け、外国人旅行者に限定した民泊受け入れを認めているが、宿泊日数や事業者の登録要件などについて、各地方自治体が条例を制定することが必要としている。
特区法では民泊について7―10日以上の賃貸借契約であることや、滞在に適した部屋の広さとして25平方メートル以上など一定の条件を満たすことで、外国人旅行者にアパートなどを宿泊用として提供できるとしている。
東京都ホテル旅館生活衛生同業組合では、条例制定の動きを冷静に受け止めている。当初、都ホテル旅館組合では、旅館業法に基づかない宿泊営業を認めるダブルスタンダートに対する不公平感や、民泊が旅館ホテルの営業を圧迫することへの警戒感から、旅館業法適用除外に反対してきたが、途中から戦術を転換。反対の主眼を「安心安全な地域社会の維持」に絞り、特に警視庁などへの陳情活動を強め、野放図な民泊施設がテロや反社会的勢力の温床になることなどへの危惧を訴えてきた。
その結果、今年7月31日に、内閣府地方創生推進室長および厚生労働省健康局長の連名で都道府県知事、政令市市長、特別区区長宛てに通知された「外国人滞在施設の円滑な実施を図るための留意事項について」に、民泊認定事業者にはパスポートの写しをとるなど、旅館業法に基づく旅館などと同等の水準で滞在者の身元を確認できる措置を講じることや、対面によるチェックインとチェックアウトが必要なことなどが明記されている。
都ホテル旅館組合では今後、条例のなかで事業者の登録要件などが通知の内容を反映したものになっているかなど、条例の中身に重点を移した陳情活動を強めることにしている。
→特区で民泊解禁へ(2) 大阪府は審議、国が規制緩和推進に続く
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