北陸新幹線開業効果クッキリ 福井、石川旅協共栄会が合同総会
石川県旅行業協会共栄会(小田孝信会長=加賀屋)と福井県旅行業協会共栄会(伊藤和幸会長=まつや千千)の合同総会がこのほど、福井県あわら温泉の清風荘で開かれ106人が出席した。
席上、地区別の旅館送客実績が紹介された。石旅協は2014年10月―15年3月の上期で対前年比125.1%の14万3768人、15年4―9月の下期で同166.7%の17万4658人、合計では同145.0%の31万8426人と例年に比べて大幅な送客増だった。そのうち石川が17万6741人と最も多く、次いで関東の4万1772人、近畿の2万8250人、中部の1万9808人。上期よりも下期の送客が目立った首都圏と北陸は、北陸新幹線金沢開業の効果であると同時に、送客力のある旅行会社数社が石旅協会員に入会した効果であると分析している。
また福旅協は上期と下期の合計で同95.2%の22万1189人、前年割れの結果となった。地区別では福井が7万7839人と最も多く、次いで近畿の5万7405人、石川の2万4318人、中部の1万9159人、関東の1万4316人。遠方よりも近場の動きが活発化しており、近畿ほどの数字ではないが四国(3134人)、沖縄(2732人)が増加傾向だった。
今期、福旅協は共栄会会員が6社、福旅協会員が7社新規入会するなど会員増強が奏功した。
総会では、いずれの共栄会も会員増強の推進と受入会員への集中送客、受入会員のパンフレット配布や情報宣伝、情報交換を行うことを決めた。
小田会長は「北陸新幹線金沢開業は50年来の夢の実現だったが、どれくらいの人たちが北陸へお越しいただけるか不安で一杯だった。しかし開業後には多くのお客様に来ていただいた。首都圏の旅行商品の売上げは前年の4倍だったとも聞いているほどだ」「反面、北陸の旅館の客室在庫が枯渇し、部屋が取れないとの風評被害もある。忘新年会を中心に北陸の地元のお客様に来ていただける取り組みも必要。新幹線開業を一過性に終わらせずに4、5年続くよう努力が必要だと感じている」と話した。
伊藤会長も「北陸に多くのお客様に来ていただいて喜んでいる。関東だけでなく、開業効果は在来線のサンダーバードの利用客が増えるなどの好影響も出ている。我々も7年後の福井開業に向けて準備を進めたい」「旅館業界は人手不足に陥っている。施設などハード面への設備投資を行ってきたが、人材育成や働きやすい環境づくりへの投資を怠ってきた。その点を反省し、人手不足の解消に取り組まなければいけない」など新幹線福井開業までにソフト面の充実の必要性を訴えた。
総会後に行われた講演会では、福井県立大学地域経済研究所講師の江川誠一さんが「北陸へ来た観光客の財布と足跡」と題し講演した。