簡易宿所業も正会員に−会員減少の歯止め期待 日本旅館協会が総会、特定技能制度など委員会報告
日本旅館協会(北原茂樹会長=京都・旅館こうろ、2528会員)は6月11日、東京・竹芝のホテルインターコンチネンタル東京ベイで2019年度総会を開き、(1)定款の一部変更(2)18年度事業報告と決算(3)19年度事業計画と予算−などを審議、承認した。
定款の改正では、第6条を改定。正会員の資格に簡易宿所業を追加し、従来の「旅館・ホテル業を営む者」を「旅館・ホテル業および簡易宿所業を営む者」に改めた。
北原会長は上程の理由として「この6年で会員が2割程度減少しています。会員の設備等資格基準に適用していることを条件に、正会員の範囲を簡易宿所まで広げたい」と話し、理解を求め了承された。会員数はこの1年を見ても、前年度の2632会員から2528会員へと104会員減少している。
日旅協の事業運営は委員会を中心に行っており、18年度事業報告については、各委員長が成果や課題、進捗状況を説明した。
政策委員会=相原昌一郎委員長(静岡県・新井旅館) 委員会で意見をまとめた定款変更を承認いただき、ありがとうございます。昨年6月の改正旅館業法や改正旅館業法施行令の施行で、客室数の下限が撤廃されたことなどを受け、当会の会員資格基準も見直しが必要でした。新たな基準については理事会で承認されておりますが、中身の確認をお願いします。今年度は会員施設情報の見直し外国語に対応した宿泊約款の整備、災害時に宿泊外国人に対する的確な帰国情報の提供法について研究していきます。
IT戦略委員会=石橋政治郎委員長(大阪府・大和屋本店) OTA関連の看過できない問題が頻発した1年でした。サービス料の誤った表示を正し、客室の空売り問題にも対処してきました。そうした中で大手OTAと継続して意見交換する場もできました。ただ、こうした問題の根源は「自分の宿を自分で売れないこと」にあります。自社HPの売上は減少に歯止めがかかっていないのではないですか。そこで、当会ではメタサーチで直接客室を販売できるDRS(ダイレクト・リザベーション・システム)を導入しました。「宿公式」の名称で自社HPから客室が販売できます。18年度の会員のDRSの売上は約2億円、今年4月は前年の2・5倍以上の売上で年間では5億円を期待しています。DRSへの参加協力をぜひ、お願いします。
電子決済委員会=西野目智弘委員長(北海道・ホテル大雪) 新たな決済システムとして、21年9月までは手数料がゼロのペイペイとの提携をはじめました。アリペイとウィチャットペイと3つの加入促進に取り組んでいます。クレジットカードを持っていない若年層市場の取り込みで、非対面の電子決済システムの導入も推進しています。
労務委員会=山口敦史委員長(山形県・ほほえみの宿滝の湯) 特定技能制度について各支部で説明してきました。5月25日には宿泊業・技能試験の結果が発表され280人が合格しました。今のところ雇用が決まったのは1件だと聞いています。雇用の検討をお願いします。
生産性向上委員会=永井隆幸委員長(石川県・あらや滔々庵) 今年度、労務委員会から枝分かれした委員会です。生産性向上ワークショップを3つのレベルで行い、170人が参加しました。成果につながった好事例を冊子にまとめ、4月に全会員に配布しました。生産性向上で給与水準の向上を図り、業界全体で人材確保につなげたいと思っています。
総会後には田端浩観光庁長官が観光の現状と観光政策について約1時間講演。懇親会には自民党観光産業振興議員連盟の細田博之会長ら国会議員が出席した。
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