関西観光産業の核に 日旅協関西、一般社団として再設立
日本旅館協会関西支部連合会(片岡哲司会長=双葉荘、351会員)は1月29日、大阪市北区のホテルグランヴィア大阪で開いた常任理事・理事会で、連合会の一般社団化を決め、「一般社団法人日本旅館協会関西支部連合会」が発足した。
一般社団化は、関西で宿泊業の地位を明確化しようと昨年から準備していた。日本旅館協会の本部は一般社団化しているが、支部連合会としては関西が初めてとなる。
一般社団法人の設立総会で、代表理事に就任した片岡会長は「旅館ホテルが関西の観光産業においてしっかりと役割を示していきたい」と話し、「観光という枠組みの中で、基盤強化に努めていたい。それが法人格をとるということ。法人格を持つことで取引先も拡大する。この団体が関西の観光の核として突き進んでいかなければないと考えている」と決意を示した。
また席上、新型コロナウイルスに対する危惧が高まる中、理事から意見が相次いだ。特に関西では、2003年にSARSによって観光が著しいダメージを被った記憶が今なお色濃く残る。
片岡会長が「観光庁、厚労省とも連携し対応していく。本部の北原会長は本日出席予定だったが、その対応で急きょ東京に向かった」と口火。中国からのツアーがキャンセルになったなど異口同音に影響が出始めているとした中で、針谷了顧問は「一番怖いのは、旅行しにくくなること。日本人のキャンセルが増える自粛。中国人が来ないというレベルではなくなる。自粛をするな、と内閣、官邸が明確に広報するよう我々が要望すべきだ」と警鐘を鳴らした。
残念ながらその後、日本人の自粛ムードが高まり、和歌山県や奈良県をはじめ関西一円で宿泊キャンセルが相次ぐ。
常任理事・理事会ではIT戦略委員会の石橋政治郎委員長がOTAとの意見交換などについて報告。その中で、カードポイント獲得を狙った悪質な宿泊キャンセル事件について「60数枚ポイントカードを持ち2千回以上のキャンセルを繰り返した人を会員のままにしていた『一休』のシステムの脆弱さを痛感した」とし、OTAの動きを注視し、面談を重ねていくと話した。
このあとの講演会は、2025年大阪・関西万博について2人が講演。
大阪市立大学大学院の桑田政美客員教授は、日本で開催された万博や博覧会の歴史をたどり観光の変遷を話した。
公益社団法人2025年日本万国博覧会協会の小林宏行上級審議役は、万博の取り組み状況について説明。開幕日が当初の5月3日から4月13日に変更され10月13日までの184日間開催されることや、期間中2800万人の来場を見込んでいると述べた。また、開催期間中の宿泊者数を1日当たり36万4千人と予測し「現在、関西エリア全体で42万人のキャパなので宿泊地を分散させる回遊を促進し関西全体で受け入れていかなければならない」などと話した。
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