コロナ:将棋の渡辺三冠 ブログで苦境の旅館に思い寄せる
プロ将棋棋士の渡辺明三冠(棋王、王将、棋聖)が、4月17日の自身のブログで、コロナウイルスの感染拡大や、全国規模での外出・移動の自粛要請で苦境に立たされている宿泊施設を支援するウェブサイト、「種プロジェクト」を紹介しながら、「今まで将棋でお世話になった全ての人、土地、宿に支援することは出来ませんが、何かできること、は考えていきたいと思います」と思いを寄せている。
将棋界には現在、名人、竜王、王将など八大タイトル(称号)があり、タイトル戦の多くが、旅館を中心に全国各地の宿泊施設で打たれている。元湯陣屋(神奈川県)、常盤ホテル(山梨県)、ほほえみの宿滝の湯(山形県)などは、タイトル戦が戦われる常連宿になっている。
種プロジェクトで将来の宿泊費を前払い
ブログで渡辺三冠は、「このような状況だと観光地、宿は本当に厳しいと思いますが、5月に叡王戦が予定されている新潟・嵐渓荘さんも(種プロジェクトへの)登録がありました。自分はここでは2017年の竜王戦第4局で対局していて、相矢倉で羽生さんに△68飛という決め手が出た将棋です。この対局では新潟県三条市さまに大変、お世話になりました」とコメントし、何かできることを考えたいとしている。
種プロジェクトは、主に温泉旅館の宿泊体験レポートを紹介するウェブサイト、「温泉タビエル」を主宰する丹羽尚彦さんが、温泉旅館を支援しようと立ち上げた。
将来の宿泊料金の一部を前払い金として、ウェブサイトの仲介で、直接旅館の口座に振り込んでもらい、旅館ホテルを支援する取り組み。プロジェクトに登録している全国の旅館ホテルは少しずつ増えて、現在は30軒が登録している。
ユーザーは応援する施設を選び、1口5000円単位で振り込むと、旅館から金券となる証書が届く仕組み。金券は、将来の宿泊した時の料金の一部に充てられる。有効期間は3年間。
4月21日現在、373人から1358万円が集まっている。
嵐渓荘の大竹さん 反響に驚き、危機乗り越える励みに
このうち、渡辺三冠のブログでも紹介された越後長野温泉・嵐渓荘(新潟県三条市)には、これまでに約300万円の振り込みがあった。
経営者の大竹啓五さんは、「こんなに反響があると思っていなかったので、びっくりしています。感謝の気持ちでいっぱいです。最初は当面の資金にでも、と思っていたんですが、慌てて専用の口座をつくりました。廃業ということにでもなれば、全部お返しするつもりですが、将来お越しいただけることを励みに、なんとか乗り越えたいと思っています」。
反響の大きさについては、「普段からSNSで情報発信していたことが、種プロジェクトを知ってもらうことにつながったのかもしれません」と受け止めている。
コロナウイルスの感染拡大で将棋界もタイトル戦やその他の棋戦が延期されるなど影響を受けている。4月からの対戦が予定されていた、渡辺三冠が豊島将之名人・竜王に挑戦する名人戦も延期された。
渡辺三冠がブログで触れている叡王戦は、渡辺三冠が永瀬拓矢叡王に挑戦する7番勝負のタイトル戦で、すでに4月12日の第1局(会場・ほほえみの宿滝の湯)と、5月4日の第2局が中止され、5月16日に新潟県の嵐渓荘で第1局目が闘われる。
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