宿泊・観光税の使途を注視 全旅連総会で現状調査報告
全旅連は6月18日、北海道札幌市・定山渓温泉の定山渓万世閣ホテルミリオーネで2024年度通常総会と理事会を開いた。全国で議論が進む「宿泊・観光税」について、全旅連・観光立国推進委員会の森晃委員長(旅館さかや)が宿泊・観光税の現状と委員会としての考えを含めた調査結果を報告した。
森委員長は東京都や京都市など9つの自治体が宿泊税を導入し、22年度の徴収額は全体で103億円であることを伝えたあと「宿泊税は観光関連に使途が限定される法定外目的税ですが、実際には我々観光事業者の考えとはかけ離れた使い方をされることが懸念されます」と指摘。
また宿泊税導入に際し「特別徴収義務者の代表として宿泊業が確固たるリーダーシップを発揮する必要があり、重要なポイントを明確に示すことが必要です」と述べ「宿泊業者を含む観光組織が地域とお客様のために使途を決定し、我々自身が透明性を持って運営できる、それが我々が求める観光・宿泊税です」と訴え、持続可能な観光地域とは地域の組織・人材が責任と財源を持つことだと呼びかけた。
今年度事業に関しては政府が実施する委託・補助事業への積極的な申請や協力、災害に備えたデータベースの構築、ふるさと納税の促進による地域経済の活性化などで組織の強化を図る。青年部やJKK(女性経営者の会)と連携したオンラインセミナーの活用を含めて業界団体の資質向上、地位向上に努めることを決めた。
このほか観光立国や金融対策・経営改善など5つの委員会などで宿泊業界を取り巻く諸問題に対応していく。新たに「『温泉文化』のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組み」を盛り込んだ。
井上会長は迷惑客の宿泊を拒否できるようになった旅館業法の改正や飲食を伴う交際費の損金算入の上限引き上げなど、昨年度の業界活動の成果を報告。能登半島地震にも言及し「被災者の受入に協力いただいた組合員の皆様に感謝申しあげたい」と謝辞を述べた。
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