持続可能な稼げる産業 全旅連が全国大会、宿文化継承し地位向上
全国旅館ホテル生活衛生同業国合連合会(全旅連、井上善博会長=ほどあいの宿六峰舘)は6月19日、北海道札幌市の札幌パークホテルで第102回全国大会を開いた。「冒険に出よう、新しい観光の次代へ」を大会テーマに、全国の組合員旅館など関係者1千人が出席した。
大会では「宿泊産業が持続可能で稼げる産業へと変革し、業界全体の地位向上を図る業界改革に向けた新たな第一歩を踏み出す歴史的な大会であることを誓う」とする大会宣言をはじめ「地方と共に観光立国の推進」「宿を核とした地方創生の実現」といった15項目からなる決議を採択。「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた今後の取り組みについての説明も行われた。
井上会長は「昨年6月に会長を拝命して1年が経ちました。あっという間でしたが、今年の元日に起こった能登半島地震の対応と陳情活動を通しての被災地へのさまざまな支援策が講じられたことに関して、関係する方々へ感謝申しあげたい」と謝意を述べた。
また「全旅連は単なる宿泊事業者が集まる組織ではありません。先人たちが長い歴史の中で『宿文化』を築き上げてきた唯一無二の文化的価値を維持・継承して宿泊団体です」と話し、そのためには生産性の向上や人手不足、自然災害の対応などの諸問題を解決し「宿泊産業を持続可能で稼げる産業へと変化させ、地位向上につなげていかなくてはなりません」と訴えた。
来賓として自民党の古川禎久団体総局長や自民党観光産業振興議員連盟の岩谷毅会長、北海道の鈴木直道知事、札幌市の秋元克広市長らが出席したほか岸田文雄首相から「魅力ある宿泊サービスを通じて国民の暮らしを豊かにするとともに地域の活性化にお力添えを」と呼びかけるビデオメッセージが紹介された。
第27回「人に優しい地域の宿づくり賞」の表彰式では、最高賞の厚生労働大臣賞を一の坊(宮城県)、全旅連会長表彰をひなの宿ちとせ・酒の宿玉城屋(新潟県)が受賞し、賞金と表彰状が贈られた。
続いて北海道旅館組合の金南賢副理事長が大会宣言、15項目の決議文を読み上げ、会場からの拍手で採択した。
「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産の登録については、全国推進協議会の事務局を全旅連が務めている。全国大会でも亀岡勇紀専務理事が「登録を実現するにはまず国内における候補に選ばれる必要があります。日本では2年に一度、最短で2026年がその年に当たるので、登録の実現はその2年後の28年になります」と説明した。年内に百万人の署名を集めて来春に岸田首相に届ける考えで、来年6月に東京都で開催される全旅連第103回全国大会でも登録の機運を高めたいとしている。
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