世界遺産の癒し求め欧米客が急増 和歌山県熊野本宮
和歌山県から、熊野本宮観光協会の菊池博子会長と小渕てるみ副会長、小渕浩史さん、名渕敬さん、山本直也さん、鳥居泰治事務局長、田辺市本宮行政局の中正次さんがこのほど、トラベルニュース社大阪本社を訪れ、世界遺産・熊野古道の最新動向を話した。
熊野本宮大社のおひざ元、本宮温泉郷は泉質の異なる湯の峰、川湯、渡瀬の3温泉がある。いずれも熊野古道を歩く参詣者の宿泊拠点だ。「昨年はようやく、2011年の大水害前の宿泊客数に戻りました。和歌山県のプロモーションや皆さまのおかげと感謝しています」と菊池さん。
なかでも、最近著しく増えているのが欧米系の訪日客。名渕さん「10年前は100人もいませんでした。それが13年度は6800人、14年度は1万人を超え、今年度は2万人近くに達しそうです」。オーストラリアとスペイン、アメリカ、フランスの4カ国で半数を占めるという。
欧米客増加の要因の一つに、同じく世界遺産に登録されている巡礼道「サンティアゴ・デ・コンポステーラの道」と昨年2月から始めたビッグスケールのスタンプラリー。これまで150人が両方の道を完歩し、記念バッジを受け取った。熊野古道はスピリチュアルで、欧米にはない深い緑の山々に包まれ空気が美味しいと評価され、歩く人が増え続けている。
今年6月には新たに、中辺路の船玉神社から湯の峰温泉を結ぶ「赤木越えルート」を世界遺産に追加登録するよう申請中だ。赤木越えは、西国巡礼観音霊場めぐりで近世になって盛んに利用された。木立ちの中を歩く距離5.9キロの道で、菊池さんは「世界遺産の道でぐるりと周遊できるようになります。熊野古道をさらに感じていただけます」。
4月からは高野山と熊野本宮を結ぶバスの運行が予定されている。鳥居さんは「2大聖地をめぐり、本宮温泉郷で自然を通して癒しを体感してください」。