超高齢化社会に“室戸モデル” 高知県室戸市長・植田壯一郎さん
高知県室戸市の植田壯一郎市長がこのほど、トラベルニュース社大阪本社を訪れ、産学官連携でこの秋から本格的にスタートした「ヘルステック事業」をアピールした。
四国東南端に位置する室戸市。現在の人口約1万2千人で市としては全国でもっとも少ない市の一つ。高齢者率は51%に達し75歳以上の後期高齢者も市民の3割に迫る。「元気な高齢者をつくる」(植田市長)ことは市の喫緊の課題。言わば近未来の日本全体が直面する超高齢化のトップランナーと言えるまちだ。
そうした中、植田市長が目につけたのは、室戸市が日本で初めて海洋深層水が取水されたまちであること。深海が陸地に近接している特異な地形で世界ジオパークに選ばれているほか、独特な植生は特産の土佐備長炭も生み出した。これら室戸の資源を最大限活用し、「室戸で新技術を開発します。高齢化社会の室戸モデルをつくります」と話す。
すでに、高知大学医学部や市内の海洋深層水のメーカーと連携。腸内環境を良くすることなどが実証されている海洋深層水を各家庭で常時飲めるようサーバーを配布することなどを決めた。
「実は、室戸市のお年寄りはお元気です。その理由を科学的に明らかにして、ヘルスツーリズムやウェルネスツーリズムを確立したいと考えています」と植田市長。海洋療法のタラソセラピーを滞在プランとして打ち出し、市内の海岸線53キロメートルもタラソセラピーロードとする。
「弘法大師が悟りを開き、空海と名乗るきっかけは室戸での修行です。その地力を現代において予防と健康づくり、ウェルネスなまち室戸として打ち出します」。植田市長は超高齢化という負のイメージを次世代の室戸ビジョンに転換しようと意気込む。
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