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訪日客の地方誘客が課題 観光立国推進協が全体会議(1) 三大都市圏で7割を是正

25/01/28

観光関連産業を中心に産業横断的に100の企業・団体が加盟する観光立国推進協議会(菰田正信委員長=日本観光振興協会会長)は1月15日、東京・芝公園の東京プリンスホテルで全体会議を開き、大阪・関西万博の準備状況、観光庁の取り組みを担当者から聞いたほか、委員が意見を交換した。

全体会議は例年1月に開催され、今回が11回目。各団体関係者らから138人が出席、協議会後の観光関係者新春交流会には国会議員らを含め約400人が参加した。

菰田委員長はあいさつで「今年は万博、世界陸上、デフリンピックなど国際大会があります。これらの機会を捉え、国内観光、インバウンド観光の恩恵を国と協調しながら日本の隅々まで届けましょう。一方で人手不足、観光客の集中による混雑が地域住民の生活に影響を与えるなどの課題や、海外旅行市場は為替や物価高で厳しい状況です。継続的な意見交換と、政府との連携で観光産業の飛躍に努めたい」と抱負を述べた。

また、観光庁の秡川直也長官は「昨年のインバウンドは約3700万人で、消費額は8兆円を超えました。このトレンドを大事にしながら、日本人の海外旅行、国内観光の3つを同時に推進したい」と話した。

観光立国推進協議会

138人が出席した全体会議

観光庁の施策や取り組み、政府目標の達成状況については観光庁の多田浩人総務課長が紹介した。このなかでは外国人延べ宿泊者数について、コロナ前を大幅に上回っているものの、2024年10月の統計で宿泊地の割合が三大都市圏(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫)69%、地方部31%で地方誘客が進んでいない状況が説明された。

年間の統計でも地方部の宿泊は19年の37%に対して、23年は29%と減少し、状況は改善していない。こうした報告を受け、その後の各委員からの発言でも「10の大都市では免税の売上が15%あるが、地方都市は0・5%と少ない。訪日客が地方に行っていない。改善が課題」(日本百貨店協会・好本達也会長)、「温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録を目指している。温泉は地方にあり、登録を得ればインバンド旅行者は地方に向かって行く。旅行の目的に温泉が加わり、地方にムーブメントが起きる。当協議会にも協力をお願いしたい」(日本温泉協会・多田計介会長)など、特定地域への観光客集中の是正、地方誘客を求める声が多く聞かれた。

(次の記事)訪日客の地方誘客が課題 観光立国推進協が全体会議(2) 観光担う若者をどう育てるか

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