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全旅、福島・土湯温泉で全国会議 ツアー造成で復興支援(2)

11/08/03

全旅およびANTAでは現在、復興支援ツアーの造成に取り組んでいる。滋賀、新潟、長野、富山、九州全域から東北への支援ツアーが準備され、全旅でも「全面的に協力する」(池田社長)と、支援ツアーの全国的な広がりに期待した。

このうちANTA滋賀県支部、全旅しがでは会員34人が大型観光バスで福島県内を視察。観光による東北復興を推進するため、業界をあげて観光バスの高速道路利用料金の通年無料化を働きかけることを要望していた。

井田・全旅しが営業所長

井田克己・全旅しが営業所長は
「がんばろうふくしま」のTシャツを着用

会議では福島県の現況が報告された。

小林次郎・ANTA福島県支部長(全旅福島県営業所長)=ANTA福島県支部会員は110社で、全体では年間35―40億円の売上があります。震災による損害額は全体で18億円、6―7月は対前年で9割減の厳しい状況です。

黒澤文雄・福島県観光物産交流協会統括部長=風評被害という言葉が広く使われていますが、(原発事故は)進行形というのが福島県民の認識です。

福島観光への影響は、県の旅館ホテル組合の集計では、3―6月に68万人の宿泊キャンセルが発生し、損害額は74億円です。また、これまで力を入れてきた教育旅行、体験旅行がほとんど消滅しました。小中高大学で年間7900校70万泊まで伸ばしてきた分野ですが、今年は前年比で1―5%程度まで激減すると見ています。

短期的には観光性の旅行の回復は難しいと思います。それが1年なのか2年なのか。そこで現在、当協会では視察旅行や福島を応援したいと考えている団体など特定のマーケットにアプローチしています。東京都庁や東京都教育庁との連携もその1つです。

今後の可能性ですが、原発立地道県や市町村関係者を対象にした現地視察ツアーなどもアイデアとしてはあります。

渡邉和裕・NPO土湯温泉まちづくり協議会会長・福島市観光物産協会会長=土湯温泉には23軒の旅館がありますが、震災で大型旅館2軒を含む4軒が建物に大きな被害を受けました。大型旅館のうち1軒は廃業、もう1軒の営業再開はだいぶ先になりそうです。

福島観光にとって最大の問題は原発事故の影響です。原発・放射能対応に、これまでに福島県が1280億円、福島市も100億円を投じています。今後の市の財政が心配です。

私たちは福島県が立ち直ることが東北の復興であり、世界に向けて日本が原発事故を脱却した証になるとの思いでがんばっています。そして、長期的には、広島、長崎のように世界中から人が訪れるかもしれません。

しかし、短期的には旅館の営業はもちません。放射能関連の研究者や医療従事者の国際会議開催や放射能の除染作戦ツアーのようなものができないか、行政や研究者を対象にした視察・支援ツアーなども打ち出していきたい。

井田・全旅しが営業所長

現状を報告する
福島県の旅館の皆さん

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