KNT―CT、第3四半期決算で34億円の債務超過―新中計で巻き返しへ(3) 「クラブ1000」と「新・旅のコンシェルジュ」
KNT―CTホールディングスが新中期経営計画で掲げた旅行事業の転換。その中で特に力を入れる新事業が、クラブツーリズムの「新・クラブ1000事業」と、近畿日本ツーリストの個人旅行事業のオンライン接客「新・旅のコンシェルジュ」だ。需要回復へ“前向きな一手”として導入、収益力向上と新時代に旅行事業構築へ打ち出していく。
クラブツーリズムの新事業は「新・クラブ1000事業」。ライフスタイルビジネスをうたい、趣味を切り口にコミュニティを形成、旅行需要の創出につなげようというものだ。コミュニティサービスはHISもオンラインサロンを導入するなどコロナ禍を受けた旅行業の新潮流になりつつある。
クラブツーリズムの強みは、やはり現在約700万人の会員組織と独自性ある商品企画力。今回の事業では、SNSのようにオンラインコミュニティの利用が生活に根付いている若年層をはじめ幅広い年齢層へリーチし、これまで中心ターゲットだったシニアに特化しない事業展開で人口減社会に対応、新たな旅行ニーズの取り込みで旅行事業を伸長させようという考えだ。
「新・クラブ1000事業」は、オンライン上でコミュニティプラットフォームを構築。手記身を切り口にコミュニティを設立、クラブ内で同じ嗜好の仲間とのつながりをもってもらう。そこに動画コンテンツや講座、イベント、会員限定の旅行サービスなどをサブスクリプション形式で有料で提供するのがビジネスモデルとなる。
コミュニティプラットフォームは昨年12月にスタートし、鉄道や釣りなどのコミュニティが活発に活動を始めており、将来的には1000のコミュニティ設立が目標。コミュニティからコミュニティが派生、大きな広がりを持つ場になることを描く。サブスクリプションサービスは今年秋の開始を見込み。24年度までに有料会員数100万人を目指す。
小山佳延専務は「まずはコミュニティを増やすこと。利益化の肝はサブすくの会員となるが、クラツー700万会員に利用を訴えかけたい」と話す。すでにクラツーのコアな客層に対しアンケートを実施し、ロイヤルティ向上へ検討を進めている。有料会員数100万人を達成すれば、20億円の利益押し上げ効果を想定しているという。
もうひとつの注目事業は、近畿日本ツーリストの個人旅行事業に導入するオンライン接客「新・旅のコンシェルジュ」。これまでの人的接客中心からリモートによる接客へという旅行業としては大きな転換だが、これまでのリアルエージェントとしての接客ノウハウを生かしたアバターによる「ヒューマンタッチなオンライン接客」でOTAとの差別化を図ろうというものだ。
「新・旅のコンシェルジュ」では旅行相談に対し、オンラインでアバターエージェントが接客。旅行に精通したエキスパートオペレーターらが旅マエの旅行商品のコンサルティングから旅ナカの24時間見守りサービス、旅アトの次回の旅行提案まで“一気通貫”で顧客をサポートする。
小山専務によると現在、ツールの開発や運営体制を検討しており、一部店舗で検証中。4月以降にウェブで試行し、来年度上期中には旅ナカの対応から本格稼働を目指すという。
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