上方芸能でシニアを元気に 主宰する寄席が60回目を迎えた下野譲さんに聞く
高齢化社会を迎え、引きこもる老人の増加が社会問題として懸念されている。特に男性ほど引きこもることが多いそうだ。そんなシニアに「まちに出よう」と呼びかけ実践しているのが、下野譲さん(79歳)。講習会や経営塾を開催しているほか、10年以上前からは「上方芸能お楽しみ会」を主宰する。同世代に「笑いは健康の源」と呼びかけ、元気なシニアをけん引している。
高齢者を笑いでけん引
下野さんが「上方芸能お楽しみ会」をやるようになったのは、旧知の女性から「将来有望な講談師を応援してほしい」と頼まれたことがきっかけ。もともと芸能が好きだったこともあり、二つ返事で引き受けた。
「芸能と言っても、ドタバタではなくて話術、落語、浪曲、講談が好き」だった下野さんが紹介されたのは、本紙でおなじみの講談師、旭堂南龍(当時は南青)さん。さっそく話芸が中心の手づくり寄席をやっていくことで意気投合した。
こだわったのは夕方の開催。「高齢者がまちに出やすい時間帯で、始まる前は親しい人とお茶を飲みながら話し、終わってからは美味しい食事を食べて元気になってもらう」こと。演者は南龍さんに任せた。
当初は会場を転々としたが、大阪城天守閣を真正面に望むKKRホテル大阪に固定。四季を通じて眺望がよく、2カ月に一度、第4水曜日に固定して開くようになった。
その後は回を重ねて、今年3月24日の会は年齢なら還暦となる「第60回」。開演前に下野さんは、コロナ禍で思うように活動できないとしながらも「今日は楽しんでいってください」と約60人の参加者にあいさつ。南龍さんの講談、菊池まどかさんの浪曲、桂梅團治さんと桂笑金さんの落語に笑顔と拍手が絶えない会だった。
「皆が喜ぶ姿を見るのが好き」。そう話し、アクティブシニアを地で行く下野さん。次回は7月28日の開催だ。
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