尖がりが価値を生む農業― 農産物加工協会セミナー
NPO法人農産物加工協会(川西修代表理事=幸南食糧会長)のセミナー「ピンチをチャンスに!」がこのほど、大阪市淀川区のフクシマガリレイ本社で開かれ、120人が参加した。
セミナーは生産地と食品加工メーカーのマッチングに向け昨秋に設立した同協会が「技術で生産者の新しいきっかけ、儲かる農業を作ろう」と実施。今回はヤンマーホールディングス社長室企画グループ部長の橋本康治さんが「いま日本の農業がおもしろい」と題して基調講演を行った。
橋本さんは、滋賀県東近江市での業務加工用野菜づくりなど自社がサポートする事例を挙げながら「農業のマーケティング」の必要性を強調。「トマト+○○=満足」で生産者と消費者の視点に大きな差異があることを指摘した。
「生産者の1位はおいしさ、2位は品質、3位はうま味・うまさを挙げています。一方で消費者は、トマトにチーズ、パスタ、塩で満足に。生産者目線を消費者目線に変えなければなりません」
目線を変える方法として橋本さんが挙げたのは(1)売り込むから「買いたくなる」に(2)何を売るかから「なぜ」買うかに(3)食べるモノではなく「食べること」をイメージする(4)農産物ではなく「顧客」をつくる(5)自分が生産した農産物を自腹で買うこと―とした。
逆にうまくいっている農家の一例として「シンボルとなる商品がある」とし、尖がりのある商品をつくっていると紹介。「尖がりは大の上に小があり、小さな生産者でも大きな生産者を超えることができます。個性の勝負に規模は関係はなく、尖ったものしか消費者は買いません」と話し、イチゴをそのまま凍らせたかき氷など様々な切り口や、売れ筋商品の逆張りで個性化に取り組むことが尖りを生むと伝えた。
その視点に立った上で、橋本さんは「農業の体験価値こそ伝えるべきもの」と話し、消費者を生産地に誘う観光や飲食業と掛け合わせ「6次産業化の本質である価値づくり」に取り組んでほしいと訴えていた。
NPO法人農産物加工協会では賛助会員、サポーターズなどを募集している。問い合わせは電話06―6627―2900。
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