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入湯税還付で地域活性化 下呂温泉トップ3氏で観光座談会(1)

岐阜県下呂市では今春から入湯税を特化し、本来の予算に上乗せした形で観光予算を組み、入湯税を下呂温泉観光協会、下呂温泉旅館協同組合へ還付している。入湯税を有効活用し、同温泉への宿泊客増と地域活性化を図るものだが、その経緯と今後の下呂温泉のあり方について下呂市の野村誠市長、下呂温泉旅館協同組合の瀧多賀男理事長、社団法人下呂温泉観光協会の伊東祐会長に話を聞いた。

観光目的に特化し活用 旅館組合、観光協会で共同事業

―下呂温泉の宿泊客の現状と観光客の変化について、感じていることをお話しください。

野村 下呂温泉の宿泊客は、平成2年度の165万3千人をピークに減少しており、21年度は100万8千人で、22年度は100万人を切る状況です。

どの温泉地でも宿泊客は減少傾向にあると聞いていますが、そのなかでも勝ち組といわれる温泉地もあるわけで、下呂温泉でも魅力ある温泉地、行ってみたい温泉地づくりを行う必要があると考えています。

その実現のため、下呂市内数カ所にある温泉も加え150万人の宿泊客を目標とした観光計画をつくり、また今年3月には「ホスピタリティ都市宣言」を行い、官民がひとつになってお客様をおもてなしするという取り組みを始めました。

―入湯税を観光目的に特化した使い方にしようと思ったきっかけを教えてください。

野村 バブル経済崩壊後の長引く景気低迷のなか、下呂温泉がもたらす経済波及効果は多大であり、旅館が元気でなければ下呂市の将来はないと言っても過言ではありません。

そこで今回、目的税である入湯税を特化し、本来の予算に上積みした形で観光予算を組みました。観光協会、旅館組合が共同で事業を展開し、1人でも多くのお客様がお越しになる体制づくりをお願いしたいと考えたわけです。

議会の中でも、もう少し観光に思い切った予算をつけたらどうかという意見もあり、今年の観光予算は5億4900万円でスタートしました。このうち1億5千万円が入湯税で得たものです。

―入湯税は、どのように活用されるのでしょうか。

伊東 入湯税1億5千万円のうち9300万円が旅館組合、観光協会に還元されます。旅館組合には21年度までの補助金2300万円があり、それを誘致宣伝事業費2千万円にプラスしますと、4300万円が旅館組合の誘致宣伝事業費ということになります。
  
観光協会には4千万円が誘致宣伝事業費として入り、中部地区の誘致会議の開催費や旅行会社へのキャラバン、韓国での商談会や航空会社のスタディツアー招請、着地型商品調査研究などに活用します。

これ以外に旅館組合、観光協会にはインバウンド対策費として1千万円があります。

このほかの入湯税は別枠で冬花火に1100万円、温泉まつり事業費に1860万円、コンベンション助成費に1800万円を充てています。

―入湯税が還付されている温泉地は少なく、そのなかでも入湯税の使い方が明快なのは珍しいことだと思います。

瀧 昔のことを話しても仕方がないかもしれませんが、私が観光協会長を務めていた時、まだ町村合併前の下呂町のころには観光協会だけで1億円の予算がありました。
  
入湯税の還付が1億5千万円といえば多いように聞こえますが、下呂市の総予算からすると1%程度で決して多くはないと思っています。

野村市長 瀧旅館組合理事長 伊東観光協会会長

左から、野村誠・下呂市市長、瀧多賀男・下呂温泉旅館協同組合理事長、伊東祐・社団法人下呂温泉観光協会会長

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