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「観光維新―地旅夜明け前」テーマに座談会―国内観光活性化フォーラムinこうち開催(1) 高知から起こす“変革”の風

第12回国内観光活性化フォーラムinこうちの開催と今年迎えた明治維新150周年にちなみ、本紙では「観光維新―地旅夜明け前」と題して座談会を行った。高知市の旅館・三翠園に▽全国旅行業協会本部フォーラム実行委員会の近藤幸二委員長▽開催地実行委員会の山中盛世委員長▽地旅をテーマに地域活性化に取り組む全旅の中間幹夫社長をはじめ、高知県観光に造詣の深い▽大原信男さん(高知県立須崎高等学校総務部・商業科長)▽黒笹慈幾さん(高知大学地域協働学部地域連携推進センター特任教授)▽行宗昭一さん(公益財団法人高知県観光コンベンション協会専務理事)▽藤本正孝さん(高知県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長)に集まっていただいた。第二の開国(インバウンド)や志士の育成(次世代の人材育成)、廃県置藩(地旅による地方創生)、大政奉還(旅行業・観光産業の未来)を議題に観光維新の発火点となる高知県の取り組みと、観光産業のあり方について意見を交わしていただいた。

高知県地旅座談会

座談会に参加した皆さん

人材育成と地方創生―観光の県民運動化で実現

―今回のフォーラムでは高知県内在住の高校生のアイデアで高知県の着地型旅行プランを企画するコンテストが行われ、16作品26人の応募があったとお聞きしています。

前回の石川県、前々回の鹿児島県でのフォーラムでも今回と同様のコンテストが行われましたが、今日お集まりの皆さんのほとんどがコンテストの審査委員ということで、どのような感想をお持ちでしょうか。

大原 高校生らしい発想の応募が多かったように思います。注目度が高かったのは須崎高校の「手ぶらで須崎を満喫し、良縁祈願ツアー」ですが、都会に住む独身のアクティビティが好きな女性に手ぶらで須崎市に来てもらって自然のすばらしさや食材の豊富さ、人の温かさを楽しんでもらうというものです。

黒笹 このほかも高知の自然にふれ合い、高知でしか味わえない食材を食べ、歴史を知るといったツアーが多く、どれもユニークなものばかりでした。

発想がおもしろかったのは「本気で痩せたいあなたへ 超短期間ダイエットin春野」で、スポーツ施設が整っている地域ならではの内容になっていました。

―高知県ではNHK大河ドラマ「龍馬伝」が放映された2010年以降、ほぼ400万人の観光客が訪れていますが、土佐・龍馬であい博、志国高知龍馬ふるさと博などのイベントを開催されています。

その内容は高知の歴史や食、文化、自然を時代にあわせて、うまく県内外にアピールされてきました。そういった取り組みが県民にも伝わり、今回の子どもたちのツアーにも反映されているように思います。

行宗 現在、高知県では志国高知幕末維新博を開いていますが、終了後の19年度から高知の食や自然、歴史を継続しつつ、ポスト維新博としてアクティビティ、自然、スポーツを中心に高知ならではの素材をアピールしていく方向性を考えています。次の流れにも沿った内容になっていて、うれしいですね。

―今回の座談会のテーマのひとつである観光産業の次世代の人材育成という意味でも今回のコンテストは意義深いものであったように思います。

黒笹 他県の子どもたちより高知県の子どもたちはこの地でどう楽しむかを知っています。それでも都会の子と同じように均一化し始めています。

―今回のコンテストで入賞したツアーを全旅協か株式会社全旅で反映できないでしょうか。

黒笹 コンテストで選ばれたものを実際の旅行会社が取り扱うというのは、いいアイデアですね、子どもたちの励みにもなり、将来旅行会社や観光関連産業に就職したいという気持ちにつながる可能性もあります。

近藤 昨年も全旅さんの好意で海外のインバウンドの人たちに最優秀賞を受賞したツアーを早回り体験をしてもらいました。今回もコース的には不可能ではありません。

中間 そうですね、インバウンド商談会では、地元の意向を取り入れた商品をという考えがあるので、外国の旅行会社の人たちに少しでも反映できればと思います。

山中 昔のように観光施設があってそれを回るという時代から、地域にあるものをどう地域の人と、からめたものにしていくかが重要視される時代になっていますから。

黒笹 人の暮らしの隅々まで見てもらう「高知隅々ツーリズム」ということを観光の取り組みに加えたらどうかと思っています。今回のコンテストのメニューを見ても子どもたちが自分たちの暮らしをみせれば観光になることに気づいているように思います。

醤油屋さんに行ったり、まちかどギャラリーなどを訪ねる、そこにある普通の生活を見るだけのまち歩きが、他所から来た人たちにとっては旅情感をかきたてるんですね。インバウンドの対策もそれで間に合うと思っています。外国人がおもしろがることはこれからの日本人もおもしろがるに違いありません。インバウンドから新しい観光の方向性を学べると思います。

行宗 幕末維新で高知はこれだけ遠隔地でありながら世界が見えていました。坂本龍馬はなぜ、世界が見えていたのか。高知はこんなに偏狭の地でありながら、いろんなものを俯瞰できるのは県民性なのかもしれませんが、高知が先鞭を切って新しい観光のあり方を開いていきたいですね。

―高知は食の県民総選挙にしても、一回で終わらせずに継続し浸透させていくところがすごいと思います。

藤本 ロマン、やすらぎ、おいしい、学び、アクティビティという概念の「リョーマの休日」も2012年から始め、現在も続いています。継続は力なり、でキャンペーンを行う側、県民も馴染んで概念が定着してきているように感じます。

(次の記事)「観光維新―地旅夜明け前」テーマに座談会―国内観光活性化フォーラムinこうち開催(2) 着地型は「三方よし」で

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