旅館業を本音で語る「7人の若女将」 山本能楽堂で座談会(1) 七人七色のおもてなし
大阪市中央区のオフィス街にたたずむ「山本能楽堂」。国登録文化財に指定されている歴史ある能舞台に2月、各地から7人の若女将が集まった。昨年2月に大阪ミナミの寄席・千日亭で行った座談会の第二弾。今回は約80人の聴衆を集め、おもてなしの最前線に立ち国内外から宿泊客を迎える7人が意見を交わした。座談会の後は、旭堂南龍さんの講談を聞き、異日常な空間で全員参加の大懇親会。その後、ディープな夜の大阪観光に繰り出した。
<座談会参加者>
庄司 愛恵さん(山形県鶴岡市/湯田川温泉つかさや旅館)
柏木 由香さん(埼玉県飯能市/名栗温泉大松閣)
迫間 優子さん(三重県鳥羽市/鳥羽ビューホテル花真珠)
石橋 由衣さん(大阪市中央区/大和屋本店)
利光 真希美さん(和歌山市加太/大阪屋ひいなの湯)
原 のどかさん(和歌山県白浜町/おんせん民宿望海)
谷口 真理さん(徳島県三好市/ホテルかずら橋)
―司会からニックネームで呼ばれて一人ずつ登場いただきました。観衆を呼んでいることは今日まで内緒にしていたので戸惑ったと思います。大阪らしいおもてなしということでお許しください。自己紹介とお宿、地域自慢をお願いします。
石橋 大阪という都会では珍しく畳のお部屋と大浴場、宴会場があることが一番の自慢です。交通の便がいいのでインバウンドは素泊まりのお客様が多く、お食事は外で串カツやお好み焼きを楽しまれ、連泊して日本中を旅する拠点としてご利用いただいています。
柏木 104年続く奥武蔵の一軒宿、歌う愉快な若女将です(笑)。当館は19室で窓からは鳥の鳴き声、川のせせらぎが聞こえる大自然の中にあります。ミュージカルやシンガーソングライターの仕事をやっておりまして、今は旅館でも歌いながらお客様に楽しんでいただいております。
庄司 山形県湯田川温泉は1300年の歴史を持ち、源泉掛け流しの温泉です。「湯田川孟宗」といって5月がタケノコ料理の旬です。3人の子どもを育てながらの旅館業で慌ただしい毎日を過ごしております。
谷口 徳島県、祖谷のかずら橋にございます。ケーブルカーで上る露天風呂と、囲炉裏を囲んで山里の料理を召し上がっていただくのが自慢の宿です。地域としてインバウンドのお客様をたくさんお迎えし「日本の秘境を世界の秘境へ」と目指して頑張っています。
迫間 鳥羽は伊勢神宮から車で約30分、お宿が200軒以上ある一大観光地と自負しています。私どもは高台に建っている最高のロケーションと伊勢エビ、アワビ、松阪牛、カキが自慢です。インバウンドはまだまだで、国内需要が主です。
原 和歌山県白浜町からまいりました。主人が漁師で、獲れたものをお出しする小さな民宿です。こういう機会がないと私たち若女将は顔を合わせることがなく、とてもありがたいです。
利光 加太は大阪から約90分の温泉地です。タイの一本釣りで有名な漁師町で、友ヶ島が目の前に浮かんでいます。当館は江戸末期創業で、釣りのお客様から淡嶋神社へ参拝のお客様などに来ていただいております。
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