三線に魅せられて・西岡二三雄さん 56歳から14年間で1千ライブ
琉球・沖縄文化を象徴する楽器「三線」。哀調を帯びた曲からノリのいい楽曲まで3本の弦で多彩に表現でき、自ら何一つ奏でることができないヤマトンチューの記者にとって羨望モノ。それを56歳から始めて、14年経った2019年の暮れに関西を中心として1千回の公演に達したという御仁が、西岡二三雄さん。弊社事務所にお越しいただいた折りに、西岡さんに勧められて初めて三線を弾かせてもらった。「ね、簡単でしょう。今からでも十分できますよ」と背中を押してもらったものの、エヘヘと返答に窮してしまった。
「三線はそのまま開放弦で弾くとド、ファ、ドなんです。あとは指の位置を変えていきます」。そう言って、次々に曲を披露する。すごい!
「これが三線の譜面です」と、見せてくれた分厚いファイルには合、乙、老、四、上…と漢字が並ぶ。「上から順にドレミファソです」。ほぅ。「1週間で覚えられますよ」。いやいや。
西岡さんと一緒に来社した高橋蘭子さんに「カチャーシー」を手ほどきいただく。西岡さんの演奏に合わせて、頭上にあげた手を前後に揺らし軽くに握ったり放したり。「阿波踊りや河内音頭に似ているでしょう。カチャーシーが原点です」と高橋さん。楽しい。
西岡さんが三線に出会ったのは、大阪市大正区の沖縄民謡酒場。すぐに興味を持った。すると、会社近所の行きつけの喫茶店の子が沖縄で三線を買って帰ってきた。「私もほしくなって取り寄せることにしたのです」。
三線が手元に届くまで2週間あまり。インターネットで三線について調べたり、独特な楽譜について学んだり。待望の三線は2004年10月に自宅にやってきた。
それからは三線三昧。自宅近くの公園で練習していた時、通りがかった女性から「一緒にやりませんか」と声をかけられた。女性は石垣島出身で琉球舞踊の専門家。しかも、そのお兄さんが三線の先生で、師事することにもつながった。
「始めた翌年の7月23日にデイケア施設で初めてライブ演奏をさせてもらいました。皆さんにすごく喜んでもらって。車いすの方も立ち上がってカチャーシーを踊られるんです」。そこからは怒涛のライブ活動。高橋さんらとともに「沖縄民謡・上方さにん花」というグループも結成、各地に赴き4年続けて年間90回を超すほど。
その間、入浴中も練習ができるようにと、缶でつくった三線を手に入れたほかベッドの脇にも小さな三線を常備。「いろんな曲をアレンジするのが面白くって」と笑う。
三線には八重山民謡、宮古民謡、沖縄歌謡曲など5つのジャンルがある。そのうち古典は琉球王朝から伝わるものだ。「今改めて古典を深めたいと思っています。覚えるのに1年、2年かかりますが、ぼちぼちと続けていきたいですね」。50の手習いにしては深く極めた西岡さんだった。
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