中国人客誘致は官民一体で 呉煜康さん(ジャパンホリデートラベル社長)(1)
中国からの訪日旅行で実績をあげるジャパンホリデートラベル(JHT)。7月1日から中国人個人観光客へのビザ発給要件が緩和され、中国人インバウンドが期待されるなか、年間7万人を送客する同社の呉煜康(ご・いくやす)社長にインバウンドの現在の状況、今後の取り組みについて話を聞いた。
単独アピールは無意味 具体的なコース提案を
―中国人個人観光客へのビザ発給要件が大幅に緩和されました。どのように感じていますか。日本政府は中国人観光客を2016年までに年間600万人とする目標を掲げています。
ビザ解禁後、中国人観光客は増えているようですが、インバウンドにおける整備が不十分なまま大挙して中国人観光客が訪れたら、どうするつもりでしょうか。
―具体的にはどういったことでしょうか。
宿泊やバスの手配など、中国人観光客を受け入れる環境が整っていません。にもかかわらず、多くの中国人観光客が日本に来て、様々な観光地を訪れているといったマスコミ報道もあり、少し騒ぎすぎるのではないかと、思っています。
旅館単体や旅館団体、行政などが独自で中国の旅行会社や観光関係機関へセールスに回っても、たいした効果はないのではないでしょうか。旅館単体で「私たちのところに来てください」といっても、旅館だけに泊まりに来るわけではありません。どこの空港に入って、どの観光地に立ち寄り、どこへ泊まって、どこから帰るのかといった具体的なコースを組み、商品化してアピールする必要があるわけです。北海道へ中国人観光客が多く訪れているのは、きちんとそういった商品造成ができているからです。旅館や行政が単独でアピールしても意味がありません。
最近では石川県と静岡県が手を組み、小松空港イン、富士山静岡空港アウトで、宿泊施設の協力を得て兼六園、立山黒部アルペンルート、白川郷、高山、静岡茶の試飲体験といったコースを組み、新たなゴールデンルートとして売り出そうと取り組んでいます。
→中国人客誘致は官民一体で 呉煜康さん(ジャパンホリデートラベル社長)(2)に続く