JTB総合提携店から"全方位外交"へ 中塚裕博さん(三洋航空サービス社長)(1)
10年連続でJTB総合提携店全国1位の売上げを獲得してきた三洋航空サービス(本社神戸市、中塚裕博社長)が、3月末で契約を終了、4月1日にパートナー店に切り替えた。2010年4月1日で社員数85人、平均年齢34.7歳、売上げ約45億円という同社。なぜパートナー店となったのか、今後の方針は―。中塚社長に聞いた。
収益向上へ戦略見直し
―今回、総合提携店の看板をはずし、パートナー店になることを決断された理由を教えてください。
2009年の新型インフルエンザと世界不況の中、弊社も相当な影響を受け、収益力を高める態勢の必要性を実感しました。
収益向上については以前から手数料率が重くのしかかり、収益率のアップが当面の課題でした。
そこで弊社として、どのようにすれば収益が上がるかシミュレーションを進めてきた結果、ある程度の予測がたち、今回の結論に至りました。
―具体的には、どのような取り組みをされる計画ですか。
手数料については4月から日本旅行の特約店となるため、JTB商品の販売手数料率は下がりますが、日本旅行や近畿日本ツーリストなどの商品については手数料率が上がります。
それ以外にも全旅クーポンの取り扱いや日本航空、全日空とも直接、契約を交わして手数料率が上がるようになっています。
―店舗展開は。
これまでJTB関連店舗の2キロ圏内に総合提携店は出店できない規制がありましたが、規制がなくなった分、自由な店舗展開が可能になりました。
すでに2010年には子会社として株式会社三洋航空を設立し、神戸市須磨区の神戸市営地下鉄名谷駅近くに日本旅行の代理店1号店を開設し、今年4月に明石市のJR大久保駅に2店舗目をつくります。また1月に株式会社三洋旅行を設立し、4月に大阪市都島区で近畿日本ツーリストの特約店を開設します。
これで総店舗数21店舗になり、これからの5年で9店舗増やし、30店舗を目標に取り組んでいきます。
ただ神戸周辺では、ほぼ計画通りの出店ができているため、これからは大阪です。これも駅中か駅前店舗を基本に考えており、駅から離れているところに出店することはないと思います。
―店舗展開の拡大といっても、JTBの看板がなくなるわけですから、これまでのようにはいかないのではないでしょうか。
岡本営業所をはじめ、各営業所の7割がリピーターのお客様です。
看板を否定するわけではありませんが、JTB自体も支店やトラベランド店舗のスクラップ&ビルドをやっているわけですから、看板だけがすべてではないと思っています。
今年に入って富裕層をターゲットに新聞1ページに自社主催商品の募集を行ったところ、城崎温泉の著名な旅館の日帰りプランで2万数千円にもかかわらず、700人を集客しました。これからは、いかに魅力的な商品をつくっていくか、企画力を競う展開になっていくのではないでしょうか。
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