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今こそ地旅の力―3.11を経た観光業 全旅・池田孝昭社長―井門隆夫さん対談(2)

―スタディツアーは客側がボランティアをするわけですが、従来の着地型観光は着地の人たちにボランティアを強いる印象がありました。地旅が目指す旅行スタイルなのかもしれません。

井門さん「先を読むのが旅行業」

井門 その通りです。ターゲットは、被災地のために何とか力になれないだろうかと思っている日本人です。ボランティアをしたことはないけれど、今回だけは地元に花を植えていくだけでもいい、何か尽くしたいと思っている人たちです。だから地元の情報を編集して、何がいつ必要かを旅行業が先を読んで商品を造ることにつながるのです。募金もいいけれども、現地へ行ってお金を使うことがもっと嬉しいのだと思います。

池田 東日本地域だけではなく今は旅行業界の危機で、まさに井門さんのお話しの通りです。これまで癒されたいということで旅した我々が、今度は癒してあげたいという気持ちになる。光を見るのも観光ですけれども光ばかりが旅ではありません。現状を見て地域住民の立場、気持ちに立って考えることもそうなのです。

まず我々が率先して現地へ出向くこと。我々は地域に密着した地元の旅行屋ですから、このことが常日頃のご恩返しです。そして、ある程度被災地が安定したら一般のお客様へも、素晴らしかった東北方面がどうなっているのかを踏まえてご案内する。

そのためには、現地からの情報を提供していただかないといけない。着地型とは旬な情報を旅として提供するわけですから、その基本が今こそ生かされると思うんです。つまり、まず現地の情報を我々に伝えていただき、その正確な情報をお客様へ伝え、誘客する。それが着地型旅行商品なのですから。

全旅池田社長

池田孝昭さん。
株式会社全旅社長で
地旅推進本部長

池田さん「今こそ地域に恩返し」

井門 一般のお客さんが来るまでに全国のANTA会員、そして我々みたいな応援団で東北へ行きたい。なるべく早く。そういう我々に向けたツアーを造ってください。行政は「今はそれどころじゃない」と言うかもしれません。でも、旅行業は目先のことを考えるわけではないんです。今はたいへんだけど、今が落ち着いたら何が必要かを考えるのが旅行業です。それをできるのは、東北6県と被災した関東を含めた地域のANTA会員しかいないんです。一歩先を見て旅行業として新しい地旅を造る役割を担ってほしいと思います。

池田 我々は、旅行を通じてでしか地域にご恩返しはできないんです。義援金もそんなに出せるわけではない。ですから、まず我々5600社の同志に現地の情報をいただきたい。それを我々は一般ボランティア、その次に多くの観光客へと段階的に発信していきたい。被災地の会員も大変だとは思いますが、組織、仲間を信じて情報を提供していただくことを今お願いしたいのです。

井門さん

井門隆夫さん。
井門観光研究所社長で
第1回から地旅大賞審査員

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