ネット時代の旅行業 トラベルオーダー社の手応え(2) 「面白い会社」企画力も武器に
それでも課題は「コミュニケーション」
そうして、ネットとリアルを行き来し、消費者のオーダーに即応する旅行会社像が見えてきた。「通販サイトのアマゾンを想定しました。買わされるのではなくて、買いたいという欲求で皆、ポチっとクリックしてしまう。買いたいと思う気持ちに即応するスピードがネットの中では大事です」。
だから、オーダーがあったらすぐ、見積や行程を出す。ネットの世界では、それが誠意になる。中身は多少粗くても、とにかくスピード第一。そのため、社員誰もが即応できるように、メール返信するためのテンプレートを1千種類つくった。コースも何百ものフォーマットがある。
一方で「先方と話していると、他社の悪口や愚痴から始まります。依頼した見積がいつまでたっても届かないとか」。そんな話を聞くたび、旅行会社は完全に時代に遅れていると映る。「だからチャンスということかもしれないのですが」と苦笑する。
さらに、ホームページも「会社の沿革、源流をたどるツアー」や「社歌をつくる」「サプライズで社長を泣かせる旅行」など、ユニークな切り口の旅のモデルを並べた。「面白い会社があると知ってもらうことが突破口です」。
今、トラベルオーダーの顧客は7割が首都圏。「大阪の会社なのに不思議ですよね。お客さんに言わせると、大阪は激安のイメージで『なにわの商人』。アホなことやってくれそうなイメージだそうです。うちが大阪にいるメリットですね」と笑う。
課題は顧客とのコミュニケーションをもっととること。ネットを通じた客に「仁義はない」。回りまわって、「相見積もりの会社のコース」と言って自社の行程案が届くこともある。「だからこそ、スカイプとか、もっといいツールがあればなぁ。やはりリピートにつなげるためにはコミュニケーションなんです」。
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