3期6年を総括 全旅連・多田計介さんに聞く(1) 民泊、外国人労働者、コロナと3つの山
6月13日の総会で3期6年にわたって務めた全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の会長を退任した多田計介さん(石川県・ゆけむりの宿美湾荘)に、会長在任期間中の印象深い出来事や思い出、そして次期執行部に託す業界の未来について話を聞いた。
苦難への対応に全力
―会長を務められた3期6年を振り返ってください。
この6年間で思い出すのは、大きな山を三度乗り越えてきたことです。
1期目は民泊問題。2期目は外国人労働者問題。3期目はコロナパンデミック対応になるわけですが、業界にとってたいへん重たい問題に取り組む結果となりました。
民泊については住宅専用地域で宿の営業を行うことで起こった住民問題。地域社会への問題として発展し都道府県、全国の市町村長の皆様にもその安全性への弊害を認識いただき、営業制限や消防に関する義務などを加えて安全・安心を担保する方向に向かうことができました。
2期目の外国人労働者につきましては、観光庁のご指導のもと、宿泊4団体出資による試験センターが設立され、初代理事長を拝命いたしました。しかしながらスタート当時は、なかなか実績が上がらず苦しい運営を余儀なくされました。受験料の3千円を7千円へアップし、なんとか運営を継続できたことが印象強く思い出されます。国と国の問題もあり、予想された実績を上げることはできない中、今もコロナ禍の要因もあって苦戦を強いられているのが実情です。心苦しいのですが、バトンタッチする新しい執行部の皆様の奮闘を祈るところです。
3期目のコロナ禍での対応については、出口の見えない粘り強い活動を続けたことが鮮明に浮かんでまいります。業界の受けたダメージ回復のための政治活動は特に活発に行いました。特に観光振興議員連盟の国会議員の皆様、全国都道府県観議連の議員の皆様、観光立国推進協議会所属議員の皆様のほか、関連する国会議員の皆様への働き掛けを数限りなくいたしました。このことは、全旅連が政治活動の組織として旅館政治連盟を設け、長きにわたって活動をしてきた賜物だと思っています。
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