中小旅行社向け在庫販売システム―STAYNAVIが新サービス ピアトゥー・杉田真志社長に聞く(2) 団体販売の機会を増大
全旅クーポンをパートナーに
―新システムについて教えてください。
アフターコロナで、業界の在庫流通や仕組みが変わってきて、新しいシステムが求められるようになってきました。
以前であれば大手旅行会社が宿泊施設から事前に提供された在庫を持ち、自社の商品造成や、中小旅行会社など提携販売店が大手旅行会社から在庫を仕入れて販売してきました。
ところが近年、旅行会社の販売力の低下で宿泊施設側からの提供在庫は減少傾向にあり、それに伴った提携販売店への提供枠も縮小しています。
その一方、宿泊施設のオンライン共有在庫はOTAを通して個人旅行の販売が増えたことで、増加傾向にあるわけです。海外OTAなども参入し、販路はさらに広がっています。
個人旅行はオンラインで集客が可能になる一方で、団体旅行を集客する手段は限られていました。そこで今回の新システムでは、宿泊施設側で増加した直販在庫を活かし、ステイナビの検索予約サービスを通してグループ・団体向けの販売機会を増大させようというものです。
つまり、宿泊施設が個人向けに提供したオンライン在庫を新システムでは団体向けにも提供するということです。その結果、旅行会社は団体予約でもオンライン在庫の検索・予約が可能になります。
旅行会社にしても地域や料金、受入可能人数、手数料率などの条件を想定して検索すれば、そのまま客室を仮押さえできるわけです。言ってみれば旅行会社は宿泊施設へ“直予約”ができて、宿泊施設は旅行会社へ“直販売”が可能な仕組みになります。
―宿泊施設側のメリットをもう少し教えてください。
これまで宿泊施設の課題として、特定の旅行会社に在庫を預けても売れ残る、見積やデータ連携に時間がかかる、旅行会社の販売手数料が高い、振込による回収リスクがあって予約を受けづらいといったことがあったようです。
繰り返しになるかもしれませんが、今回の新システムでは在庫の共有化で売れ残りリスクが軽減できる、予約は施設側で受注の判断が可能、料金や手数料率は変動設定が可能、支払い条件の柔軟な設定ができる、といったことが宿泊施設の主なメリットになります。
導入の費用や月額利用料は無料です。成功報酬・手数料として取扱流通額の1%だけいただくようになっています。
旅行会社にとっても予約可能な施設がリアルタイムに一括で確認可能となり、今まで予約できなかった施設も予約可能で、宿泊施設への送金も全旅クーポンで可能となるメリットがあります。
―新システムのパートナーとして、全国旅行業協会の会員、全旅クーポンを選択されたのは、なぜですか。
中小旅行会社のネットワークに期待するところが大きいためです。宿泊施設側からの強い要望もあり、ぜひ一緒に新しいビジネスモデルを構築したいと思いました。
―いつごろからの稼働になりますか。また現在、宿泊施設の加盟数はどれくらいですか。
中小旅行会社加盟の組織との連携開始は7月を考えています。現在の加盟施設は150軒ほどですが、まずは旅行会社が送客したいと思われる人気施設から順にご参画いただいています。
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