平日・閑散期に特化し事業 ゆこゆこ・徳田和嘉子社長に聞く(2) 客の価格体感性を上げる
人手確保、地域活性にも
―従業員は何人いるのでしょうか。
現在、従業員は350人います。そのうち150人がコンタクトセンターのアルバイトです。200人の正社員のうち半分が営業担当になり、全国の地域・宿泊施設をまわって改善アドバイスや商談、集客プランを提案しています。
―会員誌の発行と社員数からすると経費も大変ですね。
社長になって心に決めたのは、コロナ禍ということもあり「社員を守り切る」ということです。私どものような仕事の源泉は人なんですね。営業ですから出張費もかかり一見非効率ですが、人が関わる部分は大事にしたくて出張も減らしません。紙媒体もものすごくコストがかるんです。でも会員誌を見ながら旅行に夢を膨らませてお電話していただく読者がいらっしゃって動いていただくので、これも外せません。
―今年度の取り組み、今後やろうとしていることを教えてください。
繰り返しになりますが、2023年度の経営方針として「宿泊施設の経営サポート」を謳っています。集客サポートではなく経営サポートとしていることが重要で、宿泊施設には利益をしっかりと確保していただけるよう宿泊単価を上げる努力に伴走し、私どももお客様の“価格体感性”を上げつつ脱・安売りに尽力し、1人でも多く平日の送客をしようと思っています。
お客様の価格体感性というのは今後のポイントで、いくら料金を上げてもお客様がついてこなければ意味がありません。私どもはお客様がどれくらいの宿泊料金を適正だと思っているのかデータを取っています。宿泊施設の単価が上がっていますが、なぜ単価が上がっているのかを理解いただけるようにしていくのも私どもの役目だと思っています。
宿泊施設の経営の伴走という中で今、大きな問題になっているのは人手不足です。そこで人材支援サービス「ゆくゆく」というサービスを始めました。人手不足に悩む地域と都市部からの「お試し移住」で知らない土地での暮らしと仕事を体験してみたい若者をマッチングし、地域の関係人口を創出するものです。
これまで以上に地域活性化に力を入れます。その取り組みとして「ゆこゆこ」を通してシニア世代の皆さんが平日の観光地を訪れ、地域に賑わいを生み出して地域が活気づくことを狙った「ゆこロコモーションプロジェクト」を始めました。自治体との協業による誘客事業にと取り組んでいて、すでに湯河原や下呂、熱海、熱川などで平日利用促進を行い、少しずつですが実績を積み上げています。
いずれにしても平日、閑散期というニッチな部分に特化した事業をこれからも強化していく考えです。
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