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北前船をフックに地域間交流を拡大 北前船交流拡大機構・浅見茂専務理事

江戸時代から明治時代の交易を担った北前船の寄港地が交流する「北前船寄港地フォーラムinひがし北海道・くしろ」、地域の活性化に向けた課題解決に取り組む「地域連携研究所大会」に合わせ、北前船交流拡大機構の浅見茂専務理事にフォーラム・大会への思いや今後の活動について聞いた。

食文化と伝統工芸品を世界発信

―北海道・釧路で大会が開かれたが、今大会の意義を伺いたい。

第1回大会は2007年までさかのぼり、地域活性化の名の下、ただ単にイベントを開くだけでなく、地域の発展をもたらす新たな方向性を見い出している。

今回の北海道・釧路大会は2年前に開いたフランス・パリ大会で開催を発表しており、昨年8月から約1年をかけて準備をしてきた。観光庁は新しい観光地づくりとして富裕層を誘客できる商品開発、地域づくりに取り組んでいるが、我々も国内外から誰もが訪れて喜んでもらえる地域作りを一番の目的としている。

大会の前日のエクスカーションでは3つのコースを用意し大いに盛り上がった。地元に根付くJR北海道は経営状況が大変な中にあるが、鉄道を使った観光への可能性を伝えた。JRはジャパンレールを意味するが、地元に根付く「ジモトレール」であることを花咲線、根室本線、釧網線を走りながら説いた。

今回の大会は、北前船の日本遺産ではない地である釧路・道東が舞台となったが、日本遺産の意味を改めて伝える内容が詰まっているものとなった。

―今大会は、地域が抱える課題解決に向けて地域連携を促し、皆で考えるきっかけになるのか。

そうだ。多くの関係者が集まり人間関係を築くことが、地域への再訪にもつながる。道東には、食文化やアドベンチャーツーリズムといった他地域にはない魅力がたくさんある。リピーターを増やすとともに、永続性があるものとして、地域の応援も継続して行っていく。

北前船交流拡大機構・浅見茂専務理事

北前船交流拡大機構・浅見茂専務理事

―今大会を通じて感じてもらいたいことは。

まず、食文化だ。昆布を通じて地域の活性化、交流に貢献する。昆布が持つ影響力の大きさは、道東全体にまで広がっているが、大会を契機に全国へとつなげたい。

2つ目は「伝統的工芸品」について。経済産業大臣が指定する伝統的工芸品は日本全国に241品目あり、西を代表する備前焼(岡山県備前市)と東を代表する曲げわっぱ(秋田県大館市)を4月16―28日にイタリア・ミラノで開かれた欧州三大家具見本市の一つ「ミラノフォーリサローネ」で発表した。日本で工芸展を行うと竹製品や金属、木工、陶器、磁気など7つのジャンルに分かれるが、全部地方で制作されている。次は和紙や漆など約1千年の歴史があり、魂が入った作品を日本の存在感を示すためにも世界へと展開していく。

また、元旦に能登半島地震が発生した。北陸の復興も併せて取り組んでいきたい。11月22、23日には北陸(石川県加賀市、福井県)で次の大会を開く予定だ。

当面、この3つを目標として取り組んでいく。

―改めて、日本遺産である北前船寄港地・船主集落の魅力について伺いたい。

日本遺産は日本全国に104あり「波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」は、2017年4月28日に認定された。北前船寄港地・船主集落においては、これまでに49の自治体が認定されていたが、今回の大会で新潟県村上市、福井県美浜町、岡山県岡山市の3自治体が新たに加わる。大会の前夜祭には、文化庁の合田哲雄次長自ら認定地に認定証を授与するなど、数ある日本遺産の中でも活発に活動している点でも文化庁から評価していただいている。認定されている自治体により活動の濃淡はあるが、一生懸命に取り組んでいる自治体を先行事例として紹介しながら、全体のレベルを上げていきたい。この取り組みは深めれば深めるほど交流拡大に大きく結びついていく。

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