ツーリズム・テロワールって何? フード・ツーリズム研究セミナー
「ツーリズム・テロワール」。先日開かれた、食と観光の関連性を探究しているフード・ツーリズム研究セミナーで初めて聞いた。
食と農と観光をつなぐ
辻調理師専門学校の尾藤環さんによると、ここで言うツーリズムとは「地域の文化、風土などの地域資源やその探索活動」で、テロワールは「特定の地域や土地に固有の潜在的生産力を規定する自然的、物理的条件」らしい。と言われてもイマイチ分からない。
テロワールはワイン用語でもあるらしく、産地の特徴をいう"地味"とも解釈できるそうだ。尾藤さんは、こんなふうに説明していた。
「大阪は菊菜の生産量が千葉県に次いで全国2番目なんです。菊菜は、関東は葉だけをむしる。関西は根ごと収穫し、料理も関西では根付きでします。つまり菊菜は、大阪の風土、食文化を体現した作物なんです」
それを消費者にちゃんと伝える。調理師と農家が手を握って、その価値を伝えなければならない。すると、その価値は探索活動に耐えうる地域資源になりツーリズムに昇華していく、という。
卵かニワトリのような話しだけれども、食と農と観光を結びつける1つの考え方。
尾藤さんは今年7月から、ツーリズム・テロワールを実践する。大阪・阿倍野でファーマーズマーケットを開く。大阪の農家が野菜を持ち寄り、調理師がそのレシピを提案し、消費者に販売しようという市場だ。
「10年、20年と続けていくと、ファーマーズマーケットはコミュニティの中核になり、農家と調理師と市民が交流しながらライフスタイルを発信できる拠点にならないか」。尾藤さんはそんな構想を抱いている。
フード・ツーリズム研究セミナーは大阪観光大学観光学研究所と大阪外食産業協会が主催している。