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旅のクオリアとは 日本交通公社・海旅シンポ

財団法人日本交通公社は7月21日、東京・大手町の経団連会館で第14回「海外旅行動向シンポジウム」を開いた。今回は今、最も旬な脳科学者、茂木健一郎さんを招き「旅のクオリア・観光地のクオリア」について話してもらった。聞き役は、財団常務理事の小林英俊さん。

瞬時に世界が変わる "アハ体験"に満ちた旅

茂木 クオリアとは質感のつくりこみです。高尾山がなぜ外国人に評価されるのか。それはクオリアとして破綻がないからです。点ではなく、線や面のクオリアです。かつての一点主義から滞在のすべてについて質感が求められる時代であり、これは日本の観光の要にできます。

小林 伊勢神宮に行って衝撃を受けました。ガイドブックを読んでも伊勢神宮のクオリアの素晴らしさは分かりませんでした。クオリアは言語化しづらいんですね。ワインの口当たり、味を表現する言葉は数百種類あるそうですが、そうなると、いい目利きが判断するしかありません。クオリアとは目利きの独断の集合体だと感じます。

茂木 クオリアはバカンスが3週間あって、初めて必要になるものです。旅行記にしろ、深いところで相手の国の魅力を伝える本がもっとほしいですね。スペインの闘牛では、闘牛士と牛の最後の戦いのときを「真実の瞬間」と呼びます。こうした表現がクオリアを伝えます。創造性の源がクオリアであって、それは自分が揺れ動くことです。感動は白昼夢や、目的から離れたロマンチックなさまよいの中で生まれます。不確実性とは偶然出会う幸運のことで、最大の喜びです。クオリアも目的の周辺にあることが多い。こうしたアハ体験で、0・1秒で世界が、自分が、見方が変わります。旅はアハ体験に満ちています。

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