ベストな日本の構築へ、インバウンドの方策探る JATA会議09
日本旅行業協会(JATA)は9月17―19日の3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで「JATA国際観光会議2009」を開いた。アジア市場の展望やアジア諸国の観光戦略、日本の航空政策やアウトバウンド中心の会議のなか、18日には唯一のインバウンドシンポジウムが行われた。「ベストデスティネーションをどう構築するか」をテーマに、沖縄県や百貨店業界の取り組み、中国から見た日本のインバウンド市場などが紹介されていた。
沖縄県のインバウンド政策の現状と取り組みについては、沖縄観光コンベンションビューローの平良哲会長が報告した。
平良会長は、沖縄経済の3本柱が観光収入、公共事業、基地収入であることを示しながら、観光面では「ビジットおきなわ計画」に取り組んでいることを紹介した。
現在年間600万人の観光客を2016年までに1000万人に増やす計画で、平良会長は、日本人観光客も含め沖縄県への来訪者の98%が航空機を利用しているとして(1)那覇空港の滑走路の増設(2)国際線ビルの新築(3)航空貨物ビルの移転拡充の3点セットを最重要課題としてあげていた。
外客は観光客600万人のうちの24万人。台湾10万6千人が断トツに多く、香港、米国、韓国と続く。16年までに外客100万人を目標に、訪日客のゴールデンルートである東京、京都、大阪と連携などを模索していく。
百貨店の動きを紹介したのは、日本百貨店協会外国人観光客誘致プロジェクトの原田隆晴委員長(J・フロントリテイリング)。百貨店が持つ、(1)歴史と伝統(2)ランドマーク機能(3)ホスピタリティ(4)高級性とファッション性(5)安心・安全・信頼―を外国人に対する観光要素と位置づけ、集客に取り組んでいる。これまでに「中国銀聯カードの端末導入の促進」や「全国百貨店標準指さし会話集」(英、中簡、中繁、韓に対応)の普及を行ってきた。
原田さんは「上海や香港の観光フェアに百貨店ブースを出展していますが、百貨店に対する旅行会社の関心の強さを感じています」などと手ごたえと可能性に触れていた。
国際文化交流アドバイザーの孔怡さん(有限会社天怡)は、中国から見た日本は「風光明媚でサービスもいい。ベストデスティネーションの条件が整っている」と説明。四川省の10代の女性が日本観光の写真を300枚アップしたブログには短期間で30万人の閲覧があったことや、上海で08年の人気海外旅行先で日本がナンバーワンだったことなどの例をあげて、報道番組では分からない日本観光への関心の高さを紹介していた。
しかし、一方で中国から年間4600万人が海外旅行に出かけるうち、日本に来るのはたった100万人とも指摘。「もっと中国人客に取り組む意識を持ってほしい」と話し、当初、中国人客に関心のなかった大阪の心斎橋商店街が、今では中国人が買い物しやすい商店街に変わり、売り上げに貢献していることなどを紹介していた。