地域文化とまちづくり探る 全国商工会議所観光振興大会in 神戸
日本商工会議所(岡村正会頭)は11月20―22日、神戸市中央区の神戸ポートピアホテルを主会場に「全国商工会議所観光振興大会2009in神戸」を開いた。全国の商工会議所、観光関係会員ら約1700人が参加し、地域文化を生かしたまちづくりと観光振興のあり方を考えた。
意識改革、地域活性化につながる観光振興の促進を目的に04年から開いているもの。6回目となる今回は、神戸商工会議所(水越浩士会頭)と共催し、ユネスコのデザイン都市に認定されている神戸市で「デザイン都市づくりと生活文化体感型観光の推進」をテーマに議論した。
20日は本大会を開き、岡村会頭はあいさつで「デザインによるブランドイメージ向上に努められている神戸の観光振興の手法を学び、地域の魅力の確立につなげてほしい」と呼びかけた。
観光専門委員会の須田寛委員長による日商報告、マーケティングコンサルタントの西川りゅうじんさんの講演、パネルディスカッションが行われ、最後に「神戸アピール」を採択し、本大会をまとめた。
21日は同ホテルなどで4つの分科会が開かれた。このうち「観光客の誘致につながるまちづくりとは」がテーマの分科会では、地元兵庫の温泉地などで取り組まれている事例から、観光まちづくりによる地域活性化へのヒントを探った。
パネリストは、城崎温泉・西村屋社長の西村肇さん、有馬温泉・御所坊社長の金井啓修さん、神戸フィルムオフィス代表の田中まこさん。コーディネーターは兵庫県立大学経済学部教授の加藤恵正さんが務めた。
各氏は地域での取り組みや問題点のほか、観光面での都市計画の特徴を紹介。金井さんは「有馬は自由主義。各店それぞれが質を上げる努力をし、まちの魅力向上につなげている」とネットワークによる魅力創出を語り、西村さんは「城崎は、将来の子どもたちが笑っていられるようにと地域が1つになり、温泉を軸にしたまちづくりを進めている」と計画に基づいた地域整備を話した。
観光まちづくりへの提言として、西村さんは「まちづくりは"まちのこし"であり、観光は地域で暮らしてきた人の生きざまを見せるもの。歴史や文化など地域固有の魅力の再発見に取り組んでほしい」と呼びかけた。
金井さんは資金確保の重要性に触れながら「まちぐるみでの事業展開や、お客に地域整備に利用する旨を記したマニフェストを示した上で入湯料をもらうことを考えている」と有馬の今後の展開に言及。田中さんは「まちの魅力は何か見極めることが大切。それをどう磨き発信するかについて、もっと皆が声をあげるべき」と情報発信への考えを示した。
まとめとして、加藤さんは「ソフト、ハード、ヒューマンがうまく混じりあうことの大切さがあらためてわかった。今はまちの総合力が問われている時代。感動や経験の経済的価値をお客にどう提案できるかが重要で、それはまちづくりのマネージメントにかかっている」と総括した。