海外に通用するもてなし JATA国際観光会議・インバウンドシンポ
JATA国際観光会議で9月25日に行われたインバウンド・シンポジウムで、パネリスト3人が海外に通用する「日本のもてなし」や、言葉の壁の解消、海外への観光情報発信の見直しによるインバウンド拡大策を話し合った。
「台湾加賀屋は日本のまま」
パネリストとして参加したのは、石川県和倉温泉・加賀屋会長の小田禎彦さん、ニュージーランド政府観光局局長のジェイソン・ヒルさん、多国籍企業の広告代理業などを務めるアド・コムグループ社長のアンドレアス・ヨハネス・ダンネンバーグさん。
小田さんは、今年12月18日に台湾加賀屋を開業させることを紹介。「社員240人、接客係は70人です。日本の加賀屋をそのまま持っていきます」と営業手法に触れ、「ブルガリア、中国、ミャンマーなど5カ所から出店のオファーがありますが、まだ踏み込めません。台湾は同じ東洋の文化圏ということで、何とかなるのではと思っていますが、台湾の結果次第です」と話した。
他の両氏からも日本の設備やサービスについては「トイレ以外は外国人に合わせることはない」とし、むしろソフトの部分、言葉の壁の解消が課題とされた。
ヒルさんは「外国人を地方に行かせたくても言葉の壁があります。なぜ、東京駅にすら案内所がないのでしょう」と不思議がり、ニュージーランドの案内所の利点を紹介していた。
ニュージーランドには「iSITE」と呼ばれる案内所が全国90カ所にあり、数カ国言語で対応するだけでなくホテルなどの予約もできる。
ダンネンバーグさんも「観光立国を目指すなら、言葉や教育も含めた大きなビジョンを持つ必要があります」と、言葉の問題はサインボードの多言語表記にとどまらないことを指摘していた。
日本に住み、日本語の堪能な両氏は、彼らの「大好きな日本」をもっと上手に海外にアピールしてほしいと訴えた。
ヒルさんは「日本に行ったら生魚しか食べられないのではと不安に思っている外国人もいます」。
また、ダンネンバーグさんはPRやコミュニケーションのプロとして、主に手法について進言していた。
「プロモーションを外国人のプロに任せるのも1つの方法です。観光産業への外国人の雇用も、結果として海外向け情報発信の手助けになるでしょうし、メディアの招待プログラムにも、もっと力を入れるべきです」