社長不在でも大丈夫 JKK・オープンセミナー
JKK(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会女性経営者の会)は9月28日、長野市でオープンセミナーを開き、長野県内で旅館ホテルを経営する女性経営者に会への参加を呼びかけた。
セミナーでは、漬物加工業のほか長野市の善光寺参道と千曲市で漬物販売および漬物料理店「木の花屋」を展開する、「宮城商事」の専務、宮城恵美子さんと、長野県戸倉上山田温泉・滝の湯社長の武井功さんが講演。また、JKKメンバーが「もしもパートナーがいなくなったら」をテーマにパネルディスカッションを行った。
宮城さんは「漬物は地域の伝統食。地域の農産物を使うので、生産者の顔が見えます。どこかで顔の見えない生産者が泣いているようなことがない公正な食です。漬物づくりと販売を通じて、長野の農産加工のハブ工場になりたい」などと話した。
武井さんは、10月1日に始まった「信州DC」への取り組みについて紹介した。
信州DCのメーンテーマは「未知を歩こう」。しかし、このテーマでは宿泊需要につながらないと、長野県ホテル旅館組合で独自に「ココロとカラダに効く信州」というテーマを設定した。長寿県長野を支える食や、温泉の魅力にフォーカスし「信州に泊まると健康になれる」ことをアピールすることで宿泊につなげようとしている。
武井さんは、宿泊業界としてのDCの目的を明確にすることが大事だと指摘していた。
パネルディスカッションには石橋利栄さん(大阪市中央区・大和屋本店)、永山いずみさん(岡山県湯郷温泉・ゆのごう美春閣)、山田喜代さん(滋賀県大津市・ペットと泊まれる宿屋きよみ荘)、稲熊真佐子さん(愛知県豊田市・豊田プレステージホテル)の4人が参加した。
石橋さんは旅館の経営危機を境に経理学校に通い簿記1級を取得した経験を話し「現在は月次決算や経営計画も自分でつくっています。簿記3級を取るだけでも仕事が楽しくなると思います」とアドバイスしていた。
永山さんは結婚後すぐにJCや青年部活動で社長の不在が当たり前だった経験から、「スタッフとの協力がとても大事です。以前、ノロウイルスが出たときも社長が不在でしたが、社長の後始末が必要ないほどに自分たちで対応できました」。
山田さんは「旅館や地域の外に出ることで刺激を受けたいとJKKに入りました。主人は私が経営に関心を持つようになったことを喜んでいましたが、今は逆に私に尻を叩かれるので困惑しているようです」。
いずれもパートナーに頼りきらない旅館経営の楽しさややりがいを話していた。