自転車で"点"から"面"の観光に 日本交通公社・観光実践講座
財団法人日本交通公社は11月25、26日の2日間、東京・上野公園の東京文化会館で2010年度観光実践講座を開いた。市町村の観光担当者や観光協会から24人が受講した。
「界隈まで経済効果」KCTP多賀さん
講座では、千葉県香取市の市民協働のまちづくり型観光、岐阜県高山市の国際観光都市としての戦略、三重県の人づくり・元気づくりの取り組みについて学んだ。また、外国人観光客の行動と志向や、自転車観光の実態と可能性、携帯電話の位置情報を活用した観光需要の創造策など、インバウンドやITを活用した最新の旅行トレンドについての話を聞いた。
自転車観光については、京都サイクリングツアープロジェクト(KCTP)代表の多賀一雄さんが、京都で2001年からはじめたレンタルサイクルとサイクリングツアー事業の推移と課題、将来性などについて紹介した。
多賀さんは自転車観光の利点として、観光スポットのみを訪ねる点の観光から面の観光が可能になり「界隈まで経済効果がある」と指摘した。
また、トップシーズンを迎えている京都は、渋滞とバス停の長い人の列、参道の混雑が「悲惨な状態」と話し、自転車観光は環境への負荷が少なく、渋滞を解消する重要な手段にもなると意義を強調した。
KCTPでは現在、京都市内4カ所のサイクルポートと、20カ所の宿泊施設に貸し出しを委託し400台の自転車を稼働させ、年間貸出台数は5万台を数えるまでに成長している。
ただし、早くから自転車観光の課題にも直面してきた。「現在のように歩道を歩行者と自転車が利用している限り、自転車観光の普及は難しい」。
自転車利用に対応していない街のインフラを改善しようと、多賀さんは06年にNPOを立ち上げ、自転車専用道の整備など自転車利用を念頭に置いたまちづくりを行政に訴える活動にも取り組んでいる。